たまたま見聞録
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2019.1.1(火)晴れ クロナガアリ

 クロナガアリ

天気が良くて風がなく暖かい。すばらしいひよりの元旦になった。

今日に限らずこの冬は暖かい日が続く。正午頃、庭に出てみればクロナガアリは盛んに活動していた。運んでいる種はもっぱらセイバンモロコシだ。ササガヤはあまり残っていないのだろう。セイバンモロコシは秋のうちに境川から収穫してきたものだ。去年のセイバンモロコシのみのりは悪かった。ちょうど種のできる頃合いに台風にみまわれたのが良くなかったのだろう。一見みのっているようでもしいなばかりだった。収穫したのははしりの種である。

セイバンモロコシだけでは心もとないと水稲の種も拾ってきた。水稲作戦はうまくいっていない。アリよりもアオジやキジバトあたりが目ざとく見つけて食ってしまうようだ。鳥よけの簡易な工夫もしてみた。しかし、そんなものは簡単に突破されてしまい、アリの巣の回りには米を横取りされたもみ殻が散らばっている。鳥の方でも横取りといわれれば心外だろう。庭にまかれた米は鳥に食ってくれといわんばかりだから。


2019.1.2(水)晴れ ハンドルバー

 ハンドルバー

相も変わらず群青で引き足の練習。境川はとんでもないポカポカ陽気で風も弱い。これではまとまな練習にもならないな、といいつつも暖かさがうれしい。

今日はハンドルバーを換えた。私の群青はこういう仕様変更が簡単にできるようになっている。ステムをフォークからスポッと抜いて、前後のブレーキをフレームから外せば一式取り外しできるようになっているのだ。10分でできるこの作業も当世風の自転車だと半日仕事になってしまうはずだ。

ちょっと色気を出して当世風のカーボンハンドルバーを買ってしまった。スローピングデザインのフレームには、こういうデザインのバーがかっこいいと感じたからだ。

残念ながらこのバーはしっくりこない。斜めの下ハンを使いこなすのはもう無理な感じだ。しかもカーボンなんで下ハンだとけっこうしなりがある。下ハンでハンドルバーに体重かける乗り方をしているとけっこう不安定になってしまう。 平らな上ハンが良さそうだとも思ったけれど、やってみればそれほどでもなかった。

というような経緯があってしばらく使ってなかったけれど、せっかくあるものだから活用したいと引っ張り出した。いろいろポジションを探っているうちに、思いっきりバーを前に倒してみた。写真のセッティングがノーマルだと思うが、これよりかなりの前倒しだ。そうすれば、ブレーキレバーのフーデットの上を持っての走りが決まることが分かった。ブルホーンバーを持つ要領だ。このブレーキレバーは上が握りやすくなっていぶんブルホーンバーよりもフィットする。これは儲けものの大発見だ。しかも倒しすぎた影響で下ハンが使えるようになった。ちょい近すぎるので休む下ハンになってしまうけれど、そこは愛嬌だ。

ブレーキレバーを持って頭を下げて、TTポジションのようなスタイルを練習してみよう。


2019.1.3(木)晴れ わが世の春

 宮久保橋堰堤

春がぐんぐん近づいている・・・と思うほどの陽気が続いている昨今、ホイールをグレードダウンした群青で今日も境川。

新道大橋あたりまで来ると境川の水がウーロン茶色に濁っているのに気づいた。ひどい濁りで水深1mもないはずの川底が全く見えない。あれっ工事してたかな?と思い起こしてもそれらしい感じではない。工事ならもうちょっと明るい色のはずだ。どうやら植物プランクトンが増殖しているようだ。しばらく天気のよい日が続いたせいだろう。

これはちょっとした困り事だ。じつは昨日から宮久保橋堰堤の謎の草を撮影しようともくろんでいたのだ。オオカワヂシャとイネ科の草が最大級に成長をとげ、それなりの見物になっているのだ。

さて、宮久保橋まで来てみれば写真のように濁りは気になるほどではない。私の謎の草たちはしっかり写っている。黄緑色の草たちが怪しげになびく姿はわが世の春を謳歌しているようだ。この光景を見て、少し気づくことがあった。この堰堤は南向きで日当たり良好だ。水は堰堤のせいで浅くなっているから濁りの悪影響もあるまい。水草にとっては悪くない環境だ。マイナス要素は増水によって流されやすいことだけだろう。

堰堤のオオカワヂシャはこの倍ぐらいまでしか成長できない。根ばりは弱く水の抵抗で流されてしまうようだ。イネ科の水草(私は内心では水稲だとふんでいる)もそう長くは持たない。いずれ2mの増水があれば全滅するのがさだめだ。望月の欠けたることもなしと思えば、などとは詠まない方がよい。

自転車はけっこうながっかりがあった。WH-RS500という廉価版のやつに デュラエースの10sカセットスプロケットを取り付けるときに、1mmスペーサーをはめなかったのだ。それも二度。

しばらく走っているとホイールに異音があり、カセットの締め付けが甘いことに気づき引き返すことにした。ついでにウルトラスポーツの28cという極太タイヤは扱いが面倒なので4000sIIの23cに換えることにした。

カセットの取り付けやタイヤの交換はもはや手慣れたものだ。速やかに作業を終えて再出発。カセットスプロケットも手で押し引きしてぐらついていないことを確認した。

再び異常を感じたのは2時間ほど走ってからだ。やはりカセットがゆるんでいる。いろいろと原因を思い起こした。WH-RS500は 11s用のホイールで10s、9s用に黒いスペーサーが付属している。それは正しく装着している。ところが、私の10sデュラエースカセットは9sのホイールが主流だった頃に出回った初期型で、10s用のホイールに装着するときは1mmのスペーサーが必要だったのだ。それをすっかり忘れていた。締め付けが悪くなって当然だ。

いまこれを書いていて、リアディレーラーの調整をしなかったことを思い出した。ギアの1mmずれは悪夢の温床になる。スペーサーを入れて再再セットするときにやろうとして忘れた作業だ。先日、こいつを疎かにしたばっかりにチェーン落ちでお嬢さんをこかしたばかりである。さて、明日の出発前に思い出せるだろうか。同じ失敗を3度繰り返さないようにここに記しているのだが。


2019.1.4(金)晴れ スキュアーステム

今日は久々に30km/h巡航の練習をした。下ハンの使えないハンドルバーの角度をちょっとずつ換えて当たりを出しながらの練習になった。結果、不細工に見えるぐらい前に倒せば下ハンがしっくりくることがわかった。

見てくれの悪さが我慢できるうちはこれでやろう。

せっかく持っているものを使わないのは悔しい。物を厳選して所有するならそれで良いかもしれないが、私にはちょいとした悪癖がある。しょうもないなと思いつつもチャレンジングな商品を買ってしまうことだ。おおむねアイデア倒れになっているものばかりで、すぐに後悔してしまう。後悔するだけならまだしもなんとか使いこなそうと無駄な努力をすることになる。使えないのが悔しいからだ。かくて3回ぐらいしか使わない自転車の部品がそのへんに転がることになる。

Dixnaは私の琴線に触れる挑戦的なメーカーだ。そのスキュアーステムなるものは、設計を一瞥しただけでくだらないことがわかる。よくもまあこんなものを製品化したものだとあきれるばかりだ。ステムなんてものはフォークとハンドルをしっかり組み込めば用は足りる。いまある普通の形状は必要十分であろう。

いうまでもなく私はスキュアーステムを買っている。そのトリッキーな形状が面白いと思った。一回組み付けて、やはりばかばかしいなとすぐに外して放置していた。まあこれで走ることはあるまい、またやっちまったなといつもどおり後悔していた。

ところが今日、ハンドルの角度をいろいろいじっていて、ステムがもう10mm長い方がしっくり来るような気がした。使っていたのはDixnaのVシェイプという90mmである。Vシェイプも私の琴線に触れるものがあった。好きだぜDixna。100mmのものはスキュアーステムしかない。まあひとまずというところで再登場となった次第。組み付けうっとおしいなあと辟易しながらのパーツ交換だった。昔はこういう作業も嫌いではなかったはずだが。


2019.1.5(土)晴れ スキュアーステム2

 ハンドルバー

1月5日という日付を知らなければ春だと思うような陽気になった。吹き込んでいる南風は海風ばかりではないらしい。正午頃は前線が北にあったはずだ。

噂のスキュアーステムを装着した群青で境川。写真のようにスキュアーステムはたいへんかっこいい。しかも10センチというサイズがぴったりで下ハンがばっちり決まる。スキュアーステムを買っておいてよかった。今日はずっと下ハンばかりで30km/h巡航の練習だ。

30km/h巡航だけだと楽すぎるので、上げ脚を入れることにした。上げ脚というのは、上死点の直前に太もも前に力を込めて、足を前に出す動きだ。理論上は、この上げ脚と30km/h巡航の脱力して体重だけでペダルを落とす動作は両立できるはずだ。はずというのはかなり高度なテクで、めったに成功しないからだ。

上げ脚がうまく入ると時速にして500mぐらいはスピードアップできる。それを1km以上にしようとすれば負荷が強くてトレーニング領域に入ってしまう。

風はそれなりにあるので、42×14Tの3倍を軸にして向かい風でも30km/hを維持するように心がけた。ちょっと風速が上がれば引き足も動員しなければならなくなる。追い風が強くなればケイデンスが上がって上げ脚がはまらなくなる。後半は風に合わせて速度を変えるほうの練習に移行した。

対空速度50km/hぐらいで走っていると笛の音がかすかに聞こえる。甲高くてあまりいい音とはいえない。これは昨日から気づいていた。山登りをしていると山稜を吹き越える強風でザックに縛ったテントのポールなんかがいい音をたてたものだ。さて、どこかに筒状のものがあるのだろうか。鳴っているのは自転車か、私の体か。それとも風が鳴っているというべきか。もしや心が鳴っているのか? 公案には「そんなんどうでもいいやん」という解答もあった。まあその通りだ。故障につながる異音ではないから。

かなりいい感じのスキュアーステムとハンドルバーを撮ろうと、いつものセブンイレブン裏にいった。水路を隔てたにんじん畑のわきに、不自然に揺れるタンポポの種がある。ははんと近づけばやはりクロナガアリだった。陽気に誘われて10頭ほどの働きアリが活動している。3本の束になったタンポポを運んでいるアリもいる。タンポポとクロナガアリってのは一枚は欲しいカットだ。TG-5での撮影では切れがイマイチなのでちゃんと撮ろうとすれば、庭でスーパーマクロの登場となるのだが、そのためにはタンポポを庭に運んでこなければならない。それは私のやることではないし、スーパーマクロの画角ではタンポポが入りきらないだろう。TG-5でいいやと思った。フォーカスブラケットを使えば運良くピントも来るし。


2019.1.6(土)晴れ シートピラー

シートピラー

朝から雲が厚く部分日食の観察は期待できなかった。気温は低いもののスイレン鉢に氷はなかった。放射冷却がなくて氷点下にはならなかったようだ。庭のクロナガアリは地上活動を続けている。5℃ぐらいだと地表に出てくるようだ。深部は14℃ほどあるだろうから彼らとしても外出は嫌なんじゃないだろうか。霜柱が立って地面が凍りつくまでは種集めに精を出すのかもしれない。

写真のシートピラーは一度壊れたものだ。壊れたのはナット。前の丸ナットがバカになった。体重がかかり、頻繁に調整したいところにアルミナットを持ってきているわけだからそう長くはもたない。おまけに後ろのナットは草むらに落として紛失した。

丸ナットはモノタロウから取り寄せた。一時代前なら丸ナットなんていうものを入手するのは絶望的にたいへんだった。道具屋に出向いて注文しなければ無理だったのだ。たいへん楽にはなったものの、お手軽ネット通販には限界がある。欲しいのは鉄でできたM6W10L20とM6W10L15だったのだが、L30とL12しかなかった。使えるけれどイマイチぴったしではない。おまけに色が黒だったら言うことない。というように文句をいうぐらいだったらL30をカットして20mmと15mmを作ればいいのだ。しかし鉄をカットするのはけっこう面倒だ。女房の実家のように鉄工所をやってれば造作もないことだけど。

自転車は今日も境川。上げ脚使って30km/h巡航の練習。どんよりした冬曇りの空で、風は北寄りけっこう強い。笛が聞こえるぐらい強い向かい風だとギアの選択が胆になる。ベースの42×14Tで3倍だと重いことがはっきりしてる。15Tを使って2.8倍、16Tを使って2.6倍でぴったりだといいのだけどその間が欲しいときはフロントミドルの38Tにして2.9倍、2.7倍、2.5倍にする必要がある。というのができるのが群青の自慢なんだけどフロントまでいじるのはめんどくさい。STIもいいかなと錯覚してしまうときだ。


2019.1.12(土)曇り一時雪雨 なぜあなたがここに?

 ヌマガエル

朝にざっと降り始めた雨は境川にでると雪に変わった。はからずしも初雪のサイクリングになった。雪は積もらなければ問題はない。雨でも本降りにはならないはずで、サイクリングに支障はない。

群青で境川CRを走っていて驚いたのは写真の光景。道路でカエルがつぶれているのはそう珍しいことでもないが、いまは1月中旬である。死後1日ほどしかたっていないヌマガエルの新鮮死骸だ。死亡原因は轢死と思われる。どうしてヌマガエルが真冬の道路に出てきたのだろう。

アカガエルであればそろそろ産卵の季節で夜中に出歩くこともあるだろう。だけどヌマガエルは冬に産卵するカエルではないはずだ。冬眠の真っ最中のはずの個体が道路に出ることが解せない。自ら進んで出歩くことがないとすれば何者かに運ばれたか、地中から追い出されたはずだ。

 蛹

どうにもわからない蛙の死体のことを考えつつ走っていると、もっと解せないものが見つかった。写真は蛾の蛹である。どうやらスズメガらしい。スズメガの幼虫が道路を出歩くことは普通だが、蛹が道路に転がることはまずない。冬眠蛙以上に出歩かない代物だ。

こいつもおそらく地中にいたはずだから、やはり何者かが道路に運んできたことになる。カラスとかムクドリが首尾良く掘り出して食べようとしていたところで何らかのトラブルに巻き込まれ獲物を捨てて逃げ出したというシチュエーションはありえる。

ただしそれでも解せないのは蛹が無傷でぴんぴんしているということだ。鳥あたりが掘り出したのなら致命傷を負っているはずだろう。蛙といい蛹といい相次ぐ異変に立ち会うことになった。ひとまず蛹は持ち帰った。うまいこと羽化すれば種名がわかる。

自転車は左足を重点にやった。私の左足は自転車に乗るのが下手だ。ぼぉーっと走っていると変な動きをして右足を引っ張りチコちゃんに叱られる。矯正のためにしばらく右足の力を抜いて左足だけで走ってみた。左足をちゃんと意識するだけでずっとスムーズに走れることがわかる。やっぱり左足は邪魔してたんだ。


2019.1.14(月)晴れ キジバト

 キジバト

クロナガアリに食べさせようと庭にまいている水稲の種を何者かがくすねることは数年前から気づいていた。犯人はキジバトあたりだろうと見当をつけて、いつか動かぬ証拠をつきつけてやろうともくろんでいた。

今年は首尾良く犯行現場の写真をものにすることができた。12日と13日の2日間にわたって同じ個体とおもわれるキジバトの夫婦がしきりに種をついばむのを目撃できたのだ。

キジバトの夫婦はたいへん仲がよいという印象がある。冬になると群れを作って夫婦を解消するとおぼしき鳥たちが多いが、キジバトだけは年中寄り添っているように見えるのだ。「仲良きことは美しきかな」という凡庸な名言もある。キジバトはもともと美しい鳥だけに寄り添う姿はよりいっそう美しい。


2019.1.19(土)晴れ 上ハンと圧力ポイント

群青で境川。新しいカーボンハンドルの導入目的は、上ハンが良さそうだったからだ。友だちのコルナゴv1-rを借りて持った太めのカーボンハンドルがいい感触だったから使ってみようと思ったのだ。しかしいざやってみると第一印象はそれほどでもなかった。まあいいやとしばらく上ハンは使わずに走っていた。ただそれもなんだか負けたような感じで少し改善してみようと思いついたのが今朝のことだ。

群青のハンドルバーは少し高い。それは慣れで解決できる。太いバーが細いバーより具合が悪いってこともないだろう。若干角度がついているのも何とかなるだろう。違うハンドルなんだから最初は具合が悪くて当然なんだ。

てな具合で3時間ほど上ハン走行をやったらけっこういい感じになってきた。もしかしたら細いアルミよりもいいかもしれないと思えるぐらいだ。

ハンドルに慣れるついでに、上ハン犬走りの練習。左足が下手なので左足を疎かにしないように。また、3つの圧力点に留意した。足を前に運ぶときの甲、踏み込むときの底、後ろに引くときの踵。この3点に圧力がしっかりかかることだ。タイミングがずれないように、力加減のバランスがくずれないように。やってみるとけっこう難しいけれど、難しければそれだけ面白いということもある。


2019.1.26(土)晴れ ヌマガエル再び

 ヌマガエル

強い寒気が来て寒風が吹いている。よい向かい風日和だと群青で境川。

走っていると路上に怪しげな黒い塊がある。もしやとブレーキを引き転回して見ればやはりヌマガエルだ。12日にも同じ地点でヌマガエルの死体を見ている。こうなると希有な偶然によってヌマガエルが路上に出てくるとは考えにくい。なんらかの必然があるのだ。必然は当然捕食に落ち着く。今日の個体は体に泥がついていた。つい昨日までは土中にいたはずだ。

自転車は相変わらず回す練習。踏み込み、引き、上げのバランスを重視した。風が強いとペダルに足がよくかかって練習がしやすくなる。


2019.1.27(日)晴れ オオカワヂシャだけの春爛漫

 オオカワヂシャ

今日も群青で境川。写真は定点観察している鷺舞橋下の湧水付近。緑に見える草はすべてオオカワヂシャである。冬枯れの景色の中で一人いち早く春を迎えている感じだ。

 オオカワヂシャ

そしてこちらは宮久保橋堰堤。オオカワヂシャとイネ科らしい水草が成長している。これ以上成長すると水流に耐えられなくなってしまうから最大サイズといっていい。境川本流のオオカワヂシャはおおむね岩石に活着しているヤナギゴケを頼りに根付いているようだ。

湧水のオオカワヂシャは特別で、コンクリート面に薄く堆積している砂泥に根を下ろしている。一部は流れて浮き草状態になっている。水量が一定で増水の影響が滅多になく、境川のオオカワヂシャの生育状況を見る物差しとして使える。

 オオカワヂシャ

境川でオオカワヂシャを発見したのは数年前、上和田中学前だった。それはけっこう深い所に根付いていたものだ。最初は特殊状況だと思った。その気で探せば湧水や堰堤で次々に見つかり、境川でオオカワヂシャは普通の水草だということが明らかになった。ただし、根ばりは悪いようで2m程度の増水で流失してしまうからいつでも目につく水草ではない。芽吹きは真冬でも可だ。この秋から冬は増水がなく私が見ている全域でオオカワヂシャの生育が見られる。

 オオカワヂシャ

上のオオカワヂシャを撮った脇にこの草があった。これはおそらく私が多摩川の堰堤で発見した「謎の草」だろう。いまだにその名が分からない。ごくごく普通のつまらない草だろうけど私にとっては長いつきあいの友人になっている。


2019.2.2(土)晴れ 春の臭い

群青で境川。風が弱く気温が高く日差しが強い。路面にはナナホシテントウが2つ3つ見つかる。何の仲間かもわからぬ小さな虫が宙に浮いている。

自転車はバランス良く回す練習。これはけっこうできるようになってきたと思っている。

向かい風を受け、頭を下げて走っていると頭上を横切る白っぽい影があった。モンシロチョウ?とブレーキを引いて転回し探したけれど、その影の正体を見届けることはできなかった。モンシロチョウが羽化してもおかしくないぐらいの陽気だ。セブンイレブン裏に吹く風ははっきり春の臭いを運んできた。今年は見事に暖冬だった。予報では立春に合わせて春一番が来るかもしれないという。そでひじて結びし水の凍れるを春立つきょうの風や解くらんという歌を思い出した。ちょっと技巧に走りすぎやんと中学生のときは反発した詩であるけれど。


2019.2.16(土)晴れ モンシロチョウを探す

群青で境川。天気予報ではそれほど日が射さず、最高気温は10℃程度ということだった。もう2月のなかばで日が射すとぽかぽかで冬用の装備だと暑いぐらいになってしまう。

草むらでは盛んにナナホシテントウが活動をしている。菜の花なんかが咲いているところではあの白いちかちかを探してしまう。春一番のモンシロチョウだ。今日は見つからなかった。明日はどうだろう? 来週はどうだろう? という季節になった。


2019.2.17(日)晴れときどきくもり ヒラタアブ

 ヒラタアブ

群青で境川にでかけいつものセブンイレブン裏で休憩をとっていた。水路の脇はすでにオオイヌノフグリが青い花を多数咲かせている。そこに一匹の虫が飛んでいる。どうやらヒラタアブらしい。止まれば撮れるだろうとTG-5を持って近づいていった。

ヒラタアブは得意のホバリングをしている。TGー5でホバリングするアブを撮るのは難しい。ピントが来てくれない。うまい具合にアブはすぐにオオイヌノフグリに止まった。花の蜜をなめるのだろうと見ていると、どうもそうではないようで、葉に執着している。となると産卵かもしれない。

ひとまず止まってくれれば撮影はたやすい。何枚かシャッターを切って観察を続けた。産卵するような気配がない。それでもたんに休憩しているというふうではない。葉に関心はあるようだ。

産卵かもしれないし別の行動かもしれないが私の目にはよく見えない。ひとまずアブの止まっているあたりを何枚か接写してパソコンモニターでチェックすれば何かわかるかもしれない。

帰宅して撮ったオオイヌノフグリの葉をみればアブラムシの姿がある。すでに活動しているのだ。となればヒラタアブが産卵してもいいはずだ。撮影した葉には卵らしいものは写ってなかった。そのかわりアブラムシの甘露と見える水滴がかなり写り込んでいた。それはアブにとってもごちそうのはずだ。ヒラタアブは甘露をなめていたんだろうか。


2019.2.24(日)晴れ 軋みがとれる

群青

群青に軋みが出ているのに気づいたのは1か月ほど前だったろうか。その軋みは未経験なもので原因がわからなかった。最初に疑ったのはサドルだった。写真のC2というサドルは立て付けが悪い。ぐいぐい力を入れるときに軋むからサドルかなと思ってサドルを換えてみた。しかし変化はなくシートピラーを疑った。写真の廉価版カーボンをアルミに換えても変化はなかった。

次に疑ったのはペダルだった。古いもので油を切らすときしきし軋む。ただ、今回のものは軋み方が違うので、ベアリングかもしれないと、ペダルを換えてみた。しかし改善はなく、ならばクリートだろうとクリートを換えてみたが改善がない。ためしにクリート無しで走ってみても同じ軋みがある。ペダルでもなさそうだ。

ホイールも換えてみた。フレームが割れてるんじゃないかと最悪も考えた。

万策尽きて今朝、BBを換えることにした。BB換装はけっこう面倒で、以前にTNIで改善がなかったものだから手をつけるのがおっくうだったのだ。他に手だてもないからとやってみるといっぺんで軋みがとれた。ミノウラの作業台と専用のBB外しを使えばそれなりに効率は良くなる。かつてはこういう作業も嫌いではなかったが最近はどんどんおっくうになる。手元も目も怪しい。工具を落とすし部品も落とす。クランクを反対につけるなんていう信じられないミスも今朝は起きた。ちゃんと部品が装着できているのか、もはや怪しい。

リフレッシュした群青で境川。川にでるといきなり黄色いチョウチョが目に入ってきた。1秒程度の目撃だった。モンキチョウに間違いあるまい。ついに今年もこんな季節になってきた。


2019.3.2(土)晴れ ゴミムシ

ゴミムシ

久しぶりに新しいブレーキを買った。カンパニョーロのものだ。その昔、もう10年ほどもたったろうか、斬新なデザインのカンパニョーロのレコードが欲しかった。ただし高価だった。どうせシマノの模倣で価格に見合う価値はないだろうなどと捨て置いた。それが同デザインの廉価版が出たので、ここは一つと買ってみたのだ。

レバーはスラムを合わせてみた。スラムの変速レバーを抜いた空蝉のようなブレーキレバーだ。がっかりするような代物なんだけど、持った感じとカンパニョーロとの相性はばっちりで、両者ともいい買い物だったと思える。

3月になって日差しがあたたかく虫がうごめく気配がする。いつものセブンイレブン裏に向かう路面を這うきれいな虫がいた。どうやらゴミムシらしい。気の毒な名前だ


2019.3.9(土)晴れ 半原越

テングチョウ

登坂練習。場所は勝手知ったる半原越。麓では梅の花が盛り。荻野川ではモンキチョウを2頭見る。これから春が峠を登っていくところだ。

登り練習では腰を使わないための練習。ゆっくり走ってもふらつかないように。急傾斜でも踏み込まないように。ただしそれはけっして簡単な技ではない。継続的な練習が必要だ。

半原越のチョウは写真のテングチョウ。この数年、半原越の早春を代表するチョウになっている。私が少年のころはそれほど多くはないチョウという印象があって、最初に捕まえたときずいぶんうれしかったものだ。フサザクラはもう花をつけていた。キブシもまもなく開花する。タチツボスミレはまだまだという感じ。2週間ぐらいはかかるだろうか。

比較的広葉樹の多い半原越でも杉は少なくない。強い風で土埃のように花粉が飛散している。鼻水もくしゃみも出る。最近話題の光環も確認した。なかなかきれいなものだ。

午後はずいぶん南よりの風が強かった。低気圧が発達しているのだろう。春一番になるだろうか。


2019.3.10(日)晴れのちくもり 境川

群青

日曜午前の境川。群青ででかける。群青はいろいろハンドル回りをいじってきた。今回はクラシック系のアルミにしてみた。ドロップが深いのが特徴。硬くてしならないのが特徴。やはりこれでいいんだと思う。

この写真を撮ったセブンイレブンの裏でも早春の花が盛りだ。ホトケノザ、ハコベ、ナズナ等々。冬でも咲いている花々ではあるけれど春分前ともなると本気を出している感じがある。やはり春なんだなと思う。


2019.3.24(日)晴れ 春の境川

宮久保橋堰堤

しばらく自転車に乗れず、久々の境川になった。群青で出かける。境川べりに出るとすぐにツバメの鳴き声を聞いた。数頭が上空を舞っている。モンシロチョウの数が多い。初見でこれだけたくさん目につくのは羽化のとき外に出られなかったからだ。ちょっと残念。

写真は観察を続けている宮久保橋の堰堤。1月からずっと著しい成長を続けてきたオオカワヂシャが消失している。残っている緑は水稲だと思っているイネ科っぽい草だけだ。水流に耐えられずに流出したものだろう。調べてみれば11日に高鎌橋で1mの増水が記録されている。10日(日)には繁茂を確認している。おそらくその増水で流失したものだと思われる。

オオカワヂシャの成長自体は春を迎えていっそう盛んで、大清水橋や遊水地公園の空中個体群はぐんぐん大きくなっているのを確認している。根ばりがよいからこのまま成長して初夏に花をつけるだろう。


2019.3.30(土)くもり一時晴れ 花冷え

天気が悪く北風が吹いてけっこう寒い。今年はソメイヨシノが開花してからしばらく寒い日が続いている。

今日も群青で境川。すぐにツグミを見た。もっと南にいたやつが渡っている途中なんだろう。生まれ持った衝動とコンパスを携えて北を目指す季節だ。いつものセブンイレブン裏の草むらはずいぶん賑やかになっている。コガタルリハムシがギシギシに多い。メスは腹がぱんぱんにふくれている。

草むらにはホトケノザとヒメオドリコソウが混在して花をつけている。こいつらは花も葉もよく似ている。もともとひとつの種で最近に分化したものだと思う。いまの遺伝子工学をもってすれば、その両者の遺伝子を比較して、100万年前の祖先を復元できるのだろうか?などと考えてみた。私は見届けることができないかもしれないが、ぞくぞくと胸躍る未来が待っているに違いない。

午後には雲が薄くなって日も射してきた。すると白いチョウ、黄色いチョウが一斉に飛び始めた。彼らは低温が苦手なんだろう。


2019.3.31(日)晴れ 桜

晴れてはいるんだが、上空に不定型のぼんやりした雲が多い。寒気が入ってきて湿度が高いせいだろう。ちょうど海軍道路の桜もいい頃合いだ。

海軍道路の桜はいまいちきれいではない。7分咲きぐらいで剪定もあって立派ではない。天気も良くない。

自転車は踏み込み練習に移行した。全身の力を抜いて腰回りだけで体を支えつつ太ももを上下する方法。自転車を早く進める基本の動作だ。


2019.4.3(水)晴れ クサイチゴ咲く

クサイチゴ

庭が狭くなるためにスイレン鉢を移動しなければならなかった。膨大な量の泥土を鉢から壺に移して、鉢を移動させた。それぐらいで力尽きて泥土を戻すのは後回しにすることにした。

写真は庭のクサイチゴ。庭に春が来たことを記録する意欲が失せている。春の喜びがないからだ。庭の草、虫は年を追って衰えていることがありありわかる。クサイチゴも衰退して来年はどうなるのかと心配しなければならないほどだ。

さてスイレン鉢はずっとアサザの鉢だったが、今年からは心機一転して水稲にでもしようかと思っている。


2019.4.7(日)晴れ ヤマガタアツバ

ヤマガタアツバ

今日は境川へ。スイレン鉢に水稲を植えようと画策しているもんだから、その種籾を入手しなければならない。一番手軽なのは初冬にクロナガアリの餌にしようと持ってきて、キジバトにかすめられたあれを再採集してくることだ。

いそいそと水田に向かえば、稲穂はなかった。春の田んぼの準備がされていたのだ。人が始末しなくても、腹をすかせた鳥の目を免れることはなかったろう。

写真はいつものセブンイレブン裏の壁に止まっていた蛾。春の蛾はこころなしかきれいなものが多い。種名は特定できない。わたしのレベルではヤガの一種、アツバとかウワバの類だろうという所までが精一杯だ。


2019.4.14(日)晴れのちくもり 巨大なスイバ

スイバ

写真は境川で育っているスイバ。巨大である。よく知っているスイバのゆうに2倍ある。昨日も巨大なスイバを見た。善明川のコンクリ護岸で育っているものだ。あっちのほうがでかいような気がする。どうやったらこんなでかいスイバができるんだろう。双方に共通しているのは根付いた場所の「悪さ」だ。川岸のコンクリートの割れ目が彼らの生息地。普通に考えると植物の育つ環境としては良くないのだが。

群青はいい感じになってきた。バーテープをやめてグリップにしたのがよかった。カーボンなら必ずしもバーテープは必要ないと思う。グリップにして旧式のブレーキレバーにしたもんだから、好きなだけブレーキレバーの位置をいじることができる。ハンドルバーの角度とレバーの位置は微妙な調整が必要だ。今のスタイルが究極だろうと思える。

境川ではあちこちでクビキリギスが鳴きヘビも出歩くようになった。例年通りの春爛漫という風情だ。


2019.4.20(土)晴れ カマキリに擬態

カマキリ?

群青で半原越へ。ちょうど木々が萌える頃、いまこの山を見ておきたいという気持ちがある。以前のように登りで強くなりたいという欲は衰えている。体が痛くならない程度に踏ん張って24分で登頂。少し下って水場の向かいにある小さな広場から雑木林を眺める。一番大きなヤマザクラの赤い葉桜が薄い黄色や緑のモザイクの中にある。一年で一番林に色が多い季節だ。

誰が何のためにかけたものか箱形の巣箱がある。ヤマガラが営巣しているらしく何かを持って巣口を覗いている。まだ声の出ないヒナがいるのかもしれない。

下っていると、カマキリの死体のように見えるものがあった。ちょうど新緑の桜の下で、2秒で桜の葉だとわかったものの、かなりのレベルにある擬態だからと登りなおして撮ったのが今日の写真。


2019.4.21(日)晴れ 半原越練習

今日も半原越。すっかり初夏の陽気で藤が咲いてクマバチが飛び交う。クロアゲハの姿もちらほら見かけるようになった。

半原越のモザイクになった林ではヤブサメが盛んに鳴いている。路面に虫は出ていない。ウスバシロチョウもまだだ。きっとツマキチョウは出ているはずだが見つからない。春ならではのチョウはミヤマセセリにトラフシジミ。

半原越のタイムは34分30秒。今日は35分で登るようにペースを作った。終盤にちょっと頑張りを入れて35分を切った。練習のポイントは腰を痛くしないように踏み込むこと。上半身の力を抜いて腰回りで乗るようにすれば痛みが来ない。ただ出力は大きくならないから斜度の大きい所では無理をして踏み込んでしまう。それを予防しつつ出力を上げていくのが胆だ。


2019.4.27(土) 雨の境川

群青で境川。気温は低いと天気予報で聞いていた。雨も残るかもしれないと天気予報で見ていた。ただしこれほど冷たい本降りの雨になるとは予想できなかった。それでも練習はしておきたいと境川へ。

路面には鮮やかな緑色のイモムシ。すぐにアヤモクメキリガだとわかった。これだけでも来た甲斐があったというものだ。

それだけではなくペダリングにもちょいとした発見があった。上ハンの姿勢だ。胸を反らすように開くと呼吸が楽なだけでなく、ハンドルを引くのがやさしくなる。腕で無理にハンドルを引くとすぐにできなくなってしまうけれど、胸を反っておれば背中で引くことができる。その背中の動きは下半身と連動しているのだ。この発見は大きい。

さて、登りでこの発見は生かすことができるのか? 明日半原越で確かめねばなるまい。


2019.4.28(日)晴れ 緑の半原越

半原越

群青で半原越。藤が咲いてシュレーゲルアオガエルが鳴きウスバシロチョウが飛び交えば完全に初夏だ。半原越の頂上付近の林も写真のようにすっかり初夏の装いに変わった。わずか1週間でずいぶん様子がかわるものだ。毎年、毎年相変わらずこのことに驚いている。

自転車は登りの練習。彼女は踏み込むと腰が痛くなるので、なんとかそれを克服するための練習。それをずっと続けている。サドルを下げると改善されることもあるけれど、そうでもなかった。やはり背中と太ももの力を抜いて大臀筋で回すテクを磨くほかに道はないようだ。

今日の半原越の自転車乗りは本気モードで練習する者が多かった。勝手にハルヒルで優勝を狙っているんだということにしておいた。我々は初っぱなから2時間以内の完走狙い。


2019.4.29(月)くもり 初夏の境川

群青で境川。けっこう寒いのだけどまわりはすっかり初夏。ミズキが咲いている。観察を続けている川のオオカワヂシャはいまが最盛期のようだ。

自転車は回す練習に終始した。ブラケットを持って引き足中心に回す。胸をひらく姿勢に注意した。ためしに背中を丸め胸をすぼめる感じにするとてきめん引き足はいなくなってしまう。

高鎌橋でシュレーゲルアオガエルの声を聞いたような気がして帰りに立ち寄ってみた。カエルは見つからないかわりにアライグマの子とおぼしき2頭がいた。真っ昼間から護岸に出て体を寄せ合って動かないところを見れば母親とはぐれてしまったのだろう。親がもどらなければ数日で死ぬだろう。こういう動物がはびこると気が重い。


2019.5.2(木)晴一時雨 コガネムシ

コガネムシ

群青で境川。スタートしたときはくもっていたけれど、すぐに晴れ間が見えるようになった。ただし町田方面には黒く厚い雲がかかっている。通り雨は避けられそうにない。川に出るとジャコウアゲハが飛んでいた。境川でもノバラが咲いて虫が集まっている。花を撮っているとコアオハナムグリが来て、花粉を食べ始めているようだった。ラッキーチャンスだ。観察を続けている湧水のオオカワヂシャにはいつもモンシロチョウがいる。今日はツマグロヒョウモン♂らしいヒョウモンチョウとアオスジアゲハがいた。アオスジアゲハは今季初確認だ。

サイクリングロードを走っていると路面にコガネムシの幼虫が出ていた。得意の背面歩きをしている。蛹化の場所でも探しているのだろうと注意すれば、そばに5、6頭が出ていた。なにやら不穏だ。そこはいつもコガネムシがいる場所だという記憶はある。しかし、まとまって歩いているのには何やら事件の匂いがする。

昼頃に黒い雲が上空を通過し、続いて大きな雨粒が落ちてきた。積雲は発達しており一部乳房雲のように垂れ下がっている。冷たい雨粒はかなわんなと雨宿りをした。


2019.5.4(土)晴れ一時雷雨 大きなアリジゴク

アリジゴク

群青で半原越を走っているとアスファルトを歩く地味な虫が目に入った。即座にアリジゴクだとわかったのだが、サイズが半端ない。ちゃんと確かめようとブレーキを引いて引き返した。

そいつは確かにアリジゴクだった。しかも大きさが爪ぐらいもある。半世紀ほども出会いを願っていた大きなアリジゴクだ。

子どもの頃、アリジゴクはあこがれの虫だった。その手がかりを最初に得たのは小学校5年生ぐらいの頃だったと思う。梨尾の大山君が「アリジゴクならこの辺にいっぱいおるで」と教えてくれたのだ。ただし、テントウムシサイズの小さいものばかりで大きいのは見たことがないということだった。そういう話に野心は一気に燃え上がる。誰も捕まえたことがないのならしょうがないけど、先を越されるのは悔しいものだ。

梨尾にいるのなら、私のフィールドの松尾にも松柏にもいるだろう。それ以来、神社の床下など、アリジゴクのいそうな所を見つけるたびに探っていた。

最初に見つけたのは中学校に上がってからだと思う。場所は裏山の鳴滝だった。神社の床下ではなく岩棚だった。柔らかい変成岩の露頭で岩棚になっている所に風化した岩が細かい砂になって溜まっていた。そこにあの噂通りのすり鉢状の巣が点々とあったのだ。ひとたび見つければ、類似のポイントを探って、同様な岩棚や樹木の根元などで苦もなく探し当てることができるようになった。アリジゴクは松尾でも希少な虫ではなかった。ただし人家付近では見つからなかった。しかもサイズは小さいものばかりだった。

何匹か持ち帰って飼育したのは言うまでもない。うまくいかなかった。巣を作らせるところまではいった。しかし蛹にすることはできなかった。この50年ばかりで幾度かトライしたものの一度も成功していない。

じつはアリジゴクは今住んでいる家の庭にもいた。隣家はわが家よりもいっそうよい生息地だった。北向きでなぜか雨があたらない出っ張りがあり、その下にたまった土にアリジゴクが安定して住み着いていたのだ。

成虫のウスバカゲロウもそう珍しい虫ではないようで、庭で幾度も目にしていた。ウスバカゲロウのサイズからすれば、アリジゴクはけっこう大きいはずだ。昨日までの私が見ていたのはテントウムシサイズで、ビッグサイズのものは初めてだ。自転車で走っているといろいろな虫を目にするけれど、まさかアリジゴクが見つかるとは。


2019.5.5(日)晴れ クサイチゴ

クサイチゴ

写真のクサイチゴは庭のもの。できが悪い。こいつに限らず今年のクサイチゴは壊滅状態だ。原因は日当たりの加減だと思う。今年は日当たりが良すぎる。ムクゲが枯れて枯れ木を撤去した。春先に隣家が引っ越して家屋を壊した。そのため朝から夕まで南の日が差し込むようになっている。カラスノエンドウ、ハルジオンなどの陽性の草にはいいかもしれないが、クサイチゴは日当たりがよいとだめになるようだ。

調子が悪いといえばスイレン鉢もよくない。隣家の取り壊しにともなって庭のサイズ変更があり、スイレン鉢も移動を余儀なくされた。ついでにアサザをやめて水稲にすることにした。種籾を買ってそのまま直まきにしておいたが2週間たっても成長してくる様子がない。腐敗した土壌の中で腐ってしまったたのか。収穫目標ではないからいつでも再挑戦はできる。


2019.5.6(月)晴れ 霞ヶ浦

霞ヶ浦

自転車仲間と霞ヶ浦へ。霞ヶ浦はかつてはさぞかし美しかっただろうと思う。浅い湖で水草が生い茂り、魚やらエビ・カニやら貝やらがごまんといただろう。

写真の風景は霞ヶ浦で一番大きな葦原だ。オオヨシキリがゲイゲイ鳴いて上空でピーチク鳴くヒバリと声の大きさを競っているようだ。

虫ではウスバキトンボを見た。2016年の5月4日が最高記録だから、更新はならなかったものの、例年以上に早いことはまちがいない。観察場所が霞ヶ浦だっていうのがアドバンテージだろう。境川なんかよりは密度が濃そうだ。

ウスバキトンボの他には目立った収穫もなく、ウバタマムシを見かけた程度。それも見たときは名前を忘れていた。金色の大きなタマムシで名前を調べたはずという記憶だけがあった。最近こういう失念が大変多い。どんどん頭が悪くなっているのだ。


2019.5.11(土)晴れ ウスバシロチョウ

ウスバシロチョウ

群青で半原越へ。写真はウスバシロチョウ。この辺では低地にいなくて半原越か清川村でしか見たことがない。

今日は暖かく半原越の水場の所にはウスバシロチョウがたくさん舞っていた。例年に比べて今年は多いのだろうか。観察頻度が低すぎて年によって数の変動があるとかないとか仮説は立てられない。

チョウは活動的だ。産卵している様子はなくて、わりと高いところを飛び交っている。視界の中にいつも1、2頭はいる。

滅多にない撮影チャンスだ。チョウの撮影は簡単ではないけれど、ウスバシロチョウは撮っておきたいのでTG-5を取り出した。連写モードにしてノーファインダーの運任せ。写真は運良くピントがあうところにチョウがいたものだ。何十枚も撮ってピントがあったのは3枚だけだった。


2019.5.12(日)晴れのちくもり 最高の自転車

ウィリエール

来週のハルヒルはこのウィリエールで行こうとしている。そこで久々にこいつで境川。こいつはなにげによい自転車だ。なにがよいかといって、素人の日曜サイクリングではこれほどすぐれたものはないと思っている。

いまはとってもいい自転車が安価に売られている。安価といっても20万ほどだから並みの感覚では高いかもしれない。ただ10万程度のものは一言でいって粗悪でいい大人が愛でられるような代物ではない。物自体を好きになって自転車と長くつきあえるように、そして走ることを楽しめるとなるとそれなりの所に落ち着く。

このウィリールは安価だ。フレームは20年ぐらい前に製造された新古品で4万円。その他部品はあえて高価な物を避けている。それは価格的にも用途的にも能力的にもオーバースペックであることを避けたかったからだ。むろん100万円のサーベロを買えるのならそれはうらやましい。ただし下手くそだと滑稽だ。

現行の「ロードバイク」という自転車は素人にはオーバースペックだ。アウター50Tなんてギアが必要なわけがない。インナーは34T標準だから、後輪に30Tなんていうアホみたいに巨大なギアが必要になる。11sの11-30Tなんてのは悪い冗談としか思えない。フロントインナーを24Tにすれば後ろは21Tで事足り、8sもあれば十分だ。0.1秒1秒を争う必要がなければブレーキレバーでシフトする今のアイテムは必要ない。あれは故障しやすく調整がシビアだ。パーツとメカニックのサポートが受けられない人は使わないほうがいい。残念なことに他の変速機がついたかっこいい自転車は販売されていない。

ドロップハンドルは素人にはいらない。スプリントの必要がないからだ。「ドロップハンドルだと握るポイントが多いから疲れない」などと言われているけど、あれは50年前ぐらいに発明された戯れ言のコピペにすぎない。私はドロップハンドルの下ハンでプロの真似をするのが好きだが、それはそれ用の練習を積む必要がある。しかも下ハンだから劇的に速いとか楽だってことはない。

カーボンでできた高性能なホイールも素人には宝の持ち腐れになる。いまは廉価版のアルミホイールが一式5万円ぐらいで買える。そういうのでも一時代前のものよりずっと良くできていると思う。このウィリエールの後輪は20年使っているリムで手組した。愛着はでるかもしれないけれど、さすがにもう手組はおすすめできない。現在の11sに対応しているハブだとおちょこ量が多すぎて振れ取りの手間が増えそうだ。これは組んで200kmぐらいしか走ってないので振れはでていないけど。


2019.5.13(月)くもり一時晴れ 水棲蛾

夜明け頃ふと、水棲の蛾はなんでいないんだろうかと思った。水中にある植物を食べて育ち、ゲンゴロウのように土中で蛹化して、土を掘って出てくる蛾がいてもいいじゃないかと考えたのだ。

蛾の幼虫は簡単に水の中に入る。水差しに食草を生けて蛾のイモムシを飼育する場合、水死の防止策をこうじるのが必須だ。簡単に水に入り簡単に溺死する。ということは普通の蛾はこの世に水があることを知らないのだ。

水草を食べるイモムシは水を知っているだろうか。たとえば稲の害虫は普通に水の中に入っていって水死したりしないのだろうか。挺水植物を食べる蛾がいれば水中にその活動の場を広げても変ではない。水中ボンベを体にまとって潜る虫はけっこういる。蛾の幼虫もそうするのが良いだろう。

食料とか危険とか、いろいろ考慮しても水中が圧倒的に不利とは思えない。水中蛾がいないのはたぶんたまたまなんだろうと思う。きっと鱗翅目にはそういう機会がなかったのだ。


2019.5.22(水)晴れ コナギが咲く

コナギ

コナギが花をつけた。珍しくもなんともない花だけどうれしい。まさか咲くとは思ってなかったからだ。

このコナギは去年の春に近所の田から持ってきたものである。正確にはもらってきた田んぼの土から勝手に生えてきた。土をガラスケースに入れて水道水を入れ、窓際に放置すると2週間ぐらいで芽が出て成長を始めた。やがて水上葉を展開したものの、成長は芳しくはなかった。水田で見るコナギにくらべると明らかに茎葉が細く貧相だ。きっと栄養が足りないのだろうと思った。しかし、ただの観賞用なので、貧相もまたかわいいからと放置しておいた。

そうやって毎年やっている田んぼアクアリウムであるけれど、去年は屋外ではなく室内に置いた。それなりにかっこいいガラスケースが空いたのでそれに土を入れたのだ。

屋外と屋内とで動植物の発生成長を比べれば、大きな差はないと感じていたけれど、コナギの花は咲かなかった。屋外では夏になるときれいな紫の花をつけていた。それはなかった。

コナギは秋に枯れて、冬には水槽自体を撤収することが多かった。草の成長が止まることと、凍結でケースが壊れるからだ。屋内育成では草の成長が止まることがなかった。コナギもマツバイも冬まで生き残っていた。そしてケースを娘の部屋に移して、LEDの人工光を当て若干の肥料を加えた。放置モードからアクアリウムモードへの移行だ。

アクアリウムは2回めの春を迎えて緑もあせなかった。そしてコナギに花が咲いたのだ。1年かけての開花である。

私はコナギを一年草だと思っていた。水田でも夏に花をつけ冬に見られなくなるし、庭の田んぼ水槽でも冬には枯れているからだ。しかし今回の観察によって特殊な育成条件では、生育状態も変化することがわかった。少なくとも花が咲くまでは耐えるようだ。花が咲けば枯れるのか、そのまま生き残り2年目を迎えるのか。今後の観察でわかるかもしれない。


2019.5.23(木)晴れ ジューンベリー

ヒヨドリ

今年もジューンベリーは順調に実をつけた。隣家の取り壊しにともなって枝をかなり切り落として、実の数は少ない。

ジューンベリーの実には毎年ムクドリがやってくる。ヒトも食べられるけれど、ほとんどはヒヨドリが食い尽くしてしまう。熟しぐあいを確かめるように巡回する様子が見られていたが、今朝は2つばかり実をついばむのを確認できた。

年々寂しくなる一方のわが庭である。見られる鳥の種類も数も減っている。そもそも夜明けにうるさいぐらいに鳴き交わす声がなくなった。実をついばみに来たり、アリ用の米をくすねたり、スイレン鉢で水浴びをしたり・・・その程度のことがちょっとうれしい。


2019.5.25(土)晴れ 夏の半原越

カワトンボ

半原越の山々はすっかり夏の装いだ。タニウツギの花は終わっている。ウスバシロチョウはずいぶんくたびれた。水場はカワトンボのラッシュだった。縄張りを争うオス、メスを捕まえて交尾をするオス。虫接近の技を使って一匹捕まえてみた。まだまだ腕は落ちていないぜと一安心。夏の記念にカワトンボの多い流れのわきのクサイチゴを食べた。こいつを食べないと私の夏は来ない。


2019.5.31(金)晴れ 数独

女房がやっているのを見て数独を始めた。数独は10年ぐらい前に本でやっている同僚がいて、ついでにいくつか解いてみたことがあった。

いまやっているのはインターネットのブラウザバージョンのものだ。初級のものから専門級、最高級と難易度別に毎日1つずつ提供されている。その最高級のを朝の田園都市線で、専門級のものを夜の田園都市線で解くのが日課だ。中央林間から渋谷までで解ければ勝ち、解けなければ負けという結果になる。

数独を解くにはチェーン、ダブルチェーンなどと名付けられている「定石」を覚えるのが近道らしい。しばらくはそうした定石を意識せずに毎回、あれはこれでこれはあれだからこれはあれしかない・・・といった感じで入り組んだ理屈を考えていた。それでも解けないことはなかったけれど時間はかかる。定石も5つか6つぐらいしかないようで、それを理解し覚えるのは易しい。実際の81マスのなかでどれだけすばやく応用できるかが勝負の分かれ目だ。

数独は極めようと思っているけれど、結局この易しさでは所詮電車の暇つぶし程度のものでしかないようだ。絶対解けると決まっている時点で底は浅い。これが、もしかしたら解けないかもしれないとなると難易度は無限大になるだろう。そもそも、解けないかもしれないと前提されるとトライする気が起きないかもしれない。まるで背理法の使えない数学みたいなものだから。

話変わって「解けないものは10万個に1個ぐらいあるはずだ」というスーパーマックフリーセルのゲームバランスはあらためてすぐれていると思う。ただそれはコンピュータあっての評価で、紙のコンテンツとしては数独の方がすぐれていることはいうまでもない。


2019.6.1(土)晴れときどきくもり モンシロチョウ

ブロッコリー畑

群青で境川。写真はセブンイレブン裏にあるブロッコリー畑。なんの変哲もないブロッコリー畑。きっとこんな感じになるんだろうなと撮った。なんで撮ったのかというとモンシロチョウが群れていたからだ。この写真の中でも10頭は入っているはずだ。大半が産卵に来たメスだと思う。

梅雨を控えたこの季節が一年で一番モンシロチョウが舞うときだと感じている。やつらはおそらく2化目の個体群だと思う。冬を越したメスが卵を産んで、その卵から成長したメスがまた産卵して、その卵から成長したチョウが飛んでいるのだろう。

モンシロチョウの数が多いと感じられるのはコマユバチとの関係ではないかとふんでいる。春にはまだコマユバチは活動しておらず、モンシロチョウは強敵のいない天地で増えまくっているのではないだろうか。だがもうすでにコマユバチは活動をはじめており次世代からは相当の打撃を受けるだろう。ちゃんと調べてみりゃいいのだが、その根性がない。


2019.6.3(月)晴れ 浅川のオオカワヂシャ

オオカワヂシャ

5月21日の雨で3m超の増水があった境川では、オオカワヂシャが壊滅的な被害を受けた。本流だけでなく、湧水のオオカワヂシャも大きなダメージを受けている。鷺舞橋から見下ろせばことごとく茎が倒れて折り重なっている。写真は1日に撮ったものだ。越流堤を越えて濁流が押し寄せたのだろう。なぜかミゾソバはすっくと立っている。オオカワヂシャが選ばれたように倒れている。なにがしかの弱みがあるのだろう。

オオカワヂシャの生態からして、関東一円の河川では同様の状況だろうと思っていた。ところが、多摩川の支流、浅川ではそうでなかった。

昨日の日曜日には久々に浅川を走ってきた。以前来たときとはずいぶん様相が変わっていた。大規模な改修工事が入っている。災害対策だろう。その中に異様な工法で作られた湧水を2か所見つけた。河床の下から太いパイプを通して澄んだ水が勢いよく噴出している。以前浅川に来たときには何か所か湧水が流れ込んでいるのを確認していた。どうやらそうしたものを残すためか、または人為的に造成しているようだ。

その仕掛けのある萩原橋の上手では、青く澄んだ水が深くよどみオオカワヂシャが繁茂していた。浅川はオオカワヂシャが育つような川ではないから、種や草体がパイプに引かれた水といっしょに流れてきたものだろう。完全に水中に浸かったものがあり、水上に葉を出して花を咲かせているものもある。溜まり水は人為的に引かれたと思しき水路を伝って本流につながり、その流れに沿ってオオカワヂシャが育っている。それらの様子を見る限りでは、先日の増水によるダメージはないようだ。

それにしてもあの仕掛けは雑草を育成するためなんだろうか?地下水を速やかに流して洪水をおさえる新工法なのだろうか。もしオオカワヂシャなんていう雑草を保護する気なら、素敵だ八王子!と大声で叫びたい。いずれにしてもこの先の経過観察は必要だろう。


2019.6.8(土)くもり一時晴れ 梅雨の境川

群青

梅雨入りして天気予報も自分的予想も午後3時頃から雨だろうと雨仕様の群青で境川。雨仕様といっても自転車は泥よけをつけ、ツール缶を防水のものにしているだけだ。またスマホの背面がめくれて防水もなにもあったもんじゃないから、防水仕様のウエストバッグに入れることにした。

さすがに梅雨とあって境川は夏虫の面々で騒がしい。ヒトが少ない分事故にあう虫も少ないのだが、それでもコガネムシやヤブキリが轢かれている。カギバアオシャクとおぼしきボロボロの蛾が道路に落ちていて、死んでるのか…と拾い上げると元気にばたついた。もう飛んで逃げるだけの力は残っていない。やりきったエリートだろう。

そろそろジョロウグモがまどいを解いて巣をかけ始めるころだ。境川のジョロウグモ観察ポイントを探してみれば、2齢とおぼしき幼虫が続々と見つかった。梅雨のジョロウグモを撮るにはマニュアルフォーカスが原則なんだけど、驚くなかれ、マニュアルフォーカスへの設定変更ができなかった。これはTG-1が変なんじゃなくて、使う方が変なのだ。よくこんなものまで忘れられるもんだと感心しきりだ。

オートフォーカスだと超アップにしないとピントが来ない。超アップだとピンぼけの部分が多くなるし画質がざらついてしまう。困ったもんだと証拠写真を数枚。茂みのクモを撮っていると目前の枝にからみつくヘビ。すぐにアオダイショウの抜け殻だとわかった。1m未満の中型のものらしい。いろいろと梅雨らしくてたいへんけっこうだ。


2019.6.9(日)くもりのち雨 ときめきの水路

ジョロウグモ

朝から雨が降っていて気温も低いから雨合羽をもって境川。何をおいてもまずジョロウグモを撮っておかねばならない。昨日の夜にマニュアルフォーカスを使う練習を積んだのはいうまでもない。

というわけで今日の写真は昨日見つけたジョロウグモ。せっかくの小さなクモなんだから、環境も入れて小さい体と小さい巣を表現できたほうがいい。この先こいつには雨の日も風の日もある。成虫にまで生き残って繁殖に参加するのは容易なことではないのだから。

昼飯はいつものセブンイレブン裏の水路脇。今日はかなり驚いた。予想を上回る豊かさだったからだ。水路にシジミが大量に生息していることには気づいていたがエビや魚がいるとは思わなかった。先の雨で流されてきて堆積した泥土で溜まった水に多数の生き物がうごめいているのだ。アメリカザリガニやスジエビっぽいのは普通としてもナマズの稚魚みたいなのがいたのには胸ときめいた。


2019.6.13(木)晴れ 輪ゴムの擬態

輪ゴム

自転車で走っていると道端のいろいろなものが気になる…というのはサイクリングあるあるの一つだ。サイクリングの最中は神経が見ることに集中しているからか、妙にいろいろなものに気づく。私の場合は虫が目に入ってくる。文字通りの眼にぶつかって来るという意味ではない。それもあってお互いのためにならないので最近ではアイウエアなるメガネをかけることにしているが…ぶつかるのではなく虫がよく見つかるのだ。

8日土曜、群青で境川を走っていた。天気予報は雨だったから自転車は少なかった。梅雨は虫の多い季節で境川でもミズイロオナガシジミとかちょっとレアなものがいたりする。

写真のものも一瞬、レア?かと思った。形状がトリバガに似ている。色もそれっぽい。しかしトリバガにしては大きすぎる。もしや未だ見たことのない蛾なのか?と期待する。

その間は2秒ほどだと思う。自転車の前輪が通り過ぎるころには、人工物だと確信している。普通はそれで通り過ぎるけれど、こいつは人工物としてもレアな形状なので正体を確かめることにした。

10mばかり行き過ぎてから引き返して見れば、それは輪ゴムだった。ねじれ方がトリバガ風の翅をうまく演出していたのだ。蛾はたいてい天然のものに擬態しているものである。人工物に見えることもままある。しかし輪ゴムが蛾に擬態することは珍しい。適応的な意味はなくこの先進化していくこともないだろう。


2019.6.15(土) ヘアバンドの擬態

ヘアバンド

夜が明ける頃、犬がふとんに入ってきた。犬はふだん女房と寝ている。ちょっと珍しいことだ。そして犬は私の脚をなめはじめた。右足の膝裏である。じつはそこはしばらく痛めているところで、歩くときに若干びっこをひく感じになっている。犬の舌を脚に感じながら、やはりこいつはただ者ではないなと思っている。

犬は患部を察知する能力に長けているらしい。天才的なマッサージ師の女房がしきりにそういうのだ。いったいどうやって患部を察知したものか、その能力は私にはわからない。女房に言わせると単に「おいしいからなめる」のだそうだ。

多少脚は痛くても今日は自転車に乗らねばなるまい。昨夜からいい雨が降っている。サイクリングロードはすいているだろう。夏は雨のほうが気持ちがいいものだ。ただし北風がちょっと冷たいかもしれないから雨合羽は着て出発した。

雨の日は境川はよりいっそう注意深く走らねばならない。カタツムリなどが路面に出ているからだ。タイヤで踏みつぶさないようにしつつ大半はスルー。ちょっと大きめのヒダリマキマイマイを見つけて撮影。今日はカタツムリの数は少なく蛙の姿は見られなかった。気温が低いせいだろうか。

写真はヘアバンドだろう。ゴム的なものでできている螺旋の輪だ。一瞬にしてこれが人工物であることを見抜いたのはいうまでもない。ただそれはかなりヤスデを表現できている。それも熱帯にいる大型のヤスデだ。もしインドネシアでこれを見たら、ヤスデ!と思ったかもしれない。いくらなんでも境川には大型ヤスデは出てくるまい。近くにいたとしてもそれは飼育ケースの中だ。似た虫のトビズムカデならこの辺に生息しているけれど、こんなにまるまるとしていない。

瞬時にヤスデではないと見抜いたものの、それが何かを確かめるために拾い上げてみた。それでもよく分からなかった。ヘヤーバンドの類なんだろうか?


2019.6.16(土) 快晴の境川

けっこうな雨を降らせた低気圧が過ぎて、まるで台風一過のような快晴になった。東北には強烈な低気圧があり南風が強い。日差しがあって気温は高いもののその風が乾燥していて気持ちよい。

昨日に引き続き群青で境川。ハンドルの高さに少し迷いがある。昨夜のうちにハンドルを最低まで下げる工作を行ってその試走。走った感じでは悪くはなかった。じつはチネリなんかと同じ高さで、勝手知ったる位置なのだ。ただ高く遠い方がすいすい走るには適しているだろうという感触を持った。

気温が上がると虫の活性も上がる。鷺舞橋の少し下にある林はコシアキトンボがよく見られる場所だ。今日はそこをずいぶんな数が飛び交っていた。30ほどはいただろう。ウスバキトンボも少し混じっている。何をやっているのかと見れば、小さい虫が飛んでいてそれを補食しているのだった。どうやら何かの加減でよく小虫が群れる場所らしい。樹種ではミズキがよく目立っている。

昨日の雨は1mほどの増水をもたらした。すでに濁りはとれて洗われた石と無色の水がきれいだ。ただそれはオオカワヂシャにはよくないことだろう。根ばりが悪いから流される。ヤナギゴケがないと発芽と定着が難しいようだ。いつもの湧水には2つほど背が高くなったオオカワヂシャがあり花をつけている。

3時間ほど走ってやはりハンドルを高く遠くしようと思った。じつは昨夜、スキュアーステムをセットしようとしてうまくいかなかった。下側のスペーサーがコラムに入らないのは既知だったので、ヤスリで削って入るようにした。そこまでは予定通りの進行だったものの、いざステムを入れようとするときつくて入らない。無理をせずにあきらめて短く低いハンドル仕様で出てきたのだ。

走っているとふときつくなった原因がわかって対処可能と思いついた。高く遠いハンドルを試さねば。群青はハンドルを高くセットできるフレームスケルトンにしている。善は急げと引き返してステムをセットした。やはり考えは正しかったのだが、こんなことは昨夜に思いついていないとだめだろう。かなり頭の劣化が進んでいる。


2019.6.19(水)晴れ ないことの証明

最近アプリを利用して数独をやっている。もともとはサイトコンテツでやっていたけれど、字が小さい、ボタンが小さいなどで物理的エラーが頻発するので、アプリに変更した。アプリは彩色機能などでヒントが表示されて解きやすいという利点がある。ただし手加減されているようでもあり、釈然としないものは残る。

数独に手加減は不要だ。必ず解けるからである。数独は古典論理学の問題で、現実問題とは比較にならないほど易しい。なにしろ数独はほとんど背理法で解いていくものだが、現実問題には背理法がまったく使えない。背理法さえ使えれば現実問題は大学入試レベルの問題になり下がるだろう。

現実問題では「ないこと」の証明は不可能、ということが背理法が無力な第一原因である。宇宙人が地球に来ていないことの証明はできない。説得はできても証明はできない。宇宙の彼方にすむ生物がイギリスの田舎にやってきて麦畑に奇妙な絵を描くことがあるかもしれない。それだけの途方もないテクノロジーを持った生命が、冗談好きな英国紳士のような真似をしないとは言えない。もしかしたら、ぶちまけたバケツ一杯のサイコロの目が全部ピンになるぐらいの確率で愉快犯的な宇宙人が地球にいるかもしれないのだ。そして明日にも、ひょっこり彼らがテレビに現れて「われわれは宇宙人だ。地球の友よ」と語りかけるかもしれないのだ。

残念ながら状況証拠としても宇宙人は地球にきていなさそうだ。ピラミッドは途方もないものだけど、宇宙人の製造物としてはおもちゃすぎる。まるで高専ロボコンの銀河系版だ。「一週間で地球人があっと驚く建物を作りなさい。道具は持ち込み可。ただし材料は全部地球にあるもの。どんな小さなものでも地球外ゴミを残したら失格」という競技の成果物としか思えない。

それよりも、ピラミッドは鉄すら持たない人間の群れが仰天モチベーションと創意によってなした珍事として謎解きする方がずっと面白い。なぜかピラミッドの設計図等の建造方法にまつわる記録が皆無らしい。だとすれば、どんな解答も証明されることはない。もう一度ピラミッドを造る以外には。ということになる。


2019.6.21(金)晴れ 数独のチェーンを学ぶ

数独チェーン

数独の上達には定石をたくさん覚えて諸局面で応用することが欠かせない。数字を見つける…才能ともいうべき…力も大切ではあるけれど、現在使用しているアプリではそれを機械が代用してくれる。

定石は本来は自分で探していくものだ。しかし、機械に教わるという近道がある。そもそも数独のゲーム自体、機械が作っている。今は棋士だってコンピューターに学ぶ時代だ。田園都市線の暇つぶし数独マニアが機械に頼るのは自然の流れと言えよう。

以前やっていたsudokugame.orgでは、機械の解法を見られる。ときどき機械が手詰まりを起こしてフリーズしてしまうことがあるのは微笑ましい。ミイラ取りがミイラになるように、自分で作ったパズルを解く段階で無限ループに陥っているのだろう。作成プログラムと解決プログラムの不一致によってそういうミスが起きることは理解できる。そういう些細な問題は脇に置いといて、機械の解法を後追いするのが上達の近道だ。

sudokugame.orgに頼れば無数の定石を見ることができるから、そこからなるべく多く盗んで自分のモノにすればいい。とりわけ、チェーンというテクニックのマスターは必須だ。理詰めだと一日かかりそうな局面でも、チェーンという解法があると知っているだけで、簡単に解けたりするものだ。しかし、当初簡単そうに見えたチェーンが想像以上に入り組んでいることがわかってきた。

チェーンの原理は簡単明瞭だ。始点となるマスに特定の数字をあてて、別のマスでその数をたどっていき終点をあぶり出す。終点か始点のいずれかにはその数がなければならない。その終点と始点のマスをリンクとして共有あるいは交差するマスにあるその数は「必ずない」と判定することができる。

その考え方自体は単純なので、ここにチェーンがあると教えてもらえばすぐに理解できる。ところが、sudokugame.orgにはけっこうな頻度でわからないものが出てくる。

今日の画像のチェーンもその一つだ。チェーンは一本道であるが分岐の判断も必要だ。始点のマスからたどるブロック、列または行に同じ数字が複数ある場合は要注意だ。同ブロック、列(行)の数字が「必ずない」のは確実であるが、「必ずないマス」からたどる次のマスにその数が複数あれば「どれかがある」となる。しかし、チェーンを逆にたどる場合には複数あるマスが「必ずない」となる。そこんとこがチェーンの胆だ。

画像のチェーンは、「f7(3,9)」からやまびこのように返って来て、「e7(3,4,7,9)」を足がかりに伸ばすチェーンである。私はこれを見たときエラーだと思った。機械は終点を「d2(1,3,4,8)」としているけれど、私には隣の「e2(3,4,8,9)」を終点にしてしまう錯誤との区別がつかないからだ。

しかし考えてみれば、機械がそんな凡ミスを犯すはずもないから、非常に重要な定石の一つのはずだ。そのからくりを明らかにしたいと頑張ってはいるけれど、1日がかりでも原理がつかめない。これをモノにしなければ田園都市線レースで常勝できないだろう。


2019.6.22(土) スマホの誤操作

群青

写真の群青はいい感じに仕上がってきた。ポジションとかメンテナンス性とか物の価値とか、もろもろが私にぴったりだ。今日もやっぱり境川。出がけから小雨でときおり強く降ると思われたので雨仕様で行くことにした。

本降りの雨で困るのはスマホの処置だ。それ以外はとくに問題はない。スマホも以前は問題視していなかったが、裏蓋がめくれて来て防水機能がまったく期待できなくなった。雨どころか汗の心配までしなければならなくなった。

そこで防水機能もあるというウエストバックを買って、その中にスマホを入れるようにした。今日もそれで行けるかなと思われたが、ひどいことになってしまった。

スリープ状態でウエストバックに入れていたところ、勝手に電話をかける、勝手にLINEのトークを送信する、勝手にグーグル検索をする、勝手にホーム画面の設定を変える・・・気づいただけでもこれだけの悪さをした。

LINEのトークは「,み、ま」と「み」の2件だった。それはそれでちゃんと意味が通っているのが面白い。伊藤美誠と対戦している夢を見ている平野美宇の寝言ということならば理屈も通る。

しかしこれだけの悪さをされるとうんざりする。どうやらウエストバッグの仕様に問題があるようだ。内側の防水シールがちょうど濡れ手と同じような感じでスマホを操作してしまうようだ。防水機能以外は何も期待していないウエストバックだけに戦力外通告をするほかはないだろう。


2019.6.23(日)くもり トノサマバッタ

トノサマバッタ

スマホで撮影したトノサマバッタだ。先週も境川でトノサマバッタを見たと思った。しかし 飛び去る所を遠目に0.5秒ほど見ただけでトノサマバッタという確信は持てなかった。トノサマバッタサイズのバッタは他種も境川に生息している…また、私にはトノサマバッタは晩夏の虫という印象がある。夏休みの午後、千丈川の河原を走り回ってトノサマバッタを追い回したものだ。トノサマバッタなら今季初認で判断は慎重でないとだめだ。

境川にトノサマバッタは多い。多いけれどもそう簡単に撮らせてはくれない。道路に出てきても自転車や歩行者を警戒してすぐに飛び去ってしまう。写真のやつは20cmまで近寄ってスマホで撮った。

スマホのカメラは一つだけTG-5よりすぐれている所がある。それは地面から1cmの高さで撮れるということだ。上から目線は記録と検索にはよいが、カットの力は弱くなる。地面から1cmの高さで撮れば、トノサマバッタならちゃんと虫目線になる。そのほうががぜん虫がいきいき写る。

今日の練習は下ハン。群青につけているハンドルはアナトミック形状のもので、なんとも使いにくい代物だと思い込んでいた。それでもちょっと使いこなしてみようと、ずっと下ハンで高ケイデンスの練習に終始した。3時間ばかりやっていると、肘を下げ脇を締めればわりといい感じになることがわかった。従来型のバーではアーチの一番遠いところを握る方法がある。それは最大限の力を引き出すときだ。それと類似だけどちょっと違う。かなり近いところにバーがあるという案配になるので無理なく下ハンが使えるのだ。これでいけるんじゃないかという気になった。


2019.6.29(土) 老眼用アイウエア

老眼用アイウエア

写真はアイウエアだ。サイクリンググッズではサングラスのことをアイウエアという。もう10年ほども前になるけれど、老眼用アイウエアが欲しいと探したことがあった。そのときは見つからずここぞというときのためにしかたなく老眼鏡を持ち運ぶという手間をかけていたのである。いまではコンピュータ付きの自転車に年寄りも乗るようになって、メーカーが商売になるとふんだのだろう。さっそく最安のものを求めた。

写真でもわかる通り、物はグラスに半月型の虫眼鏡を貼り付けただけのものだ。届いた製品を試着してみるとけっこう視野が悪かった。グラスが粗悪らしい。虫眼鏡部分の境がかなりじゃまくさい。さすが廉価品とあきれてしまった。だけどひとまずは実戦投入だと群青で境川に乗り出した。

雨がしとしと降ってグラスに雨粒がつく。これがいい案配に視野の悪さを帳消しにしている。サイクルコンピュータの数字はクリアに見える。老眼鏡なしだと液晶の数値を読み取るにはかなりの努力が必要で、普段のサイクリングではほとんどコンピュータに目を落とさない。一瞬で数値がわかるというのはうれしいものだ。

そしてもう一つの期待が撮影だ。TG-5だと背面の液晶画面を見なければならないからピントが合っているかどうかの確認ができない。取れ高を現場で見ることができなくて、あとでがっくりすることがしばしばだった。サイクリングに老眼鏡を持ち運ぶのは、これぞ!という被写体に巡り会うかもしれないからだ。遠近両用アイウエアがあればその手の煩わしさがなくなる。

液晶モニターが見えなくていらいらするのはマニュアルフォーカス(MF)での撮影だ。小さいジョロウグモを小さく撮りたいときが好例である。たまたま鷺舞橋に子グモを見つけテストのつもりでやってみた。鷺舞橋でがんばる子グモなんてカットはオートだと困難の極みになる。やってみた感じではまずまずだ。ちゃんとした老眼鏡の使い勝手には及ばないものの、現場でピント確認ができることは大きい。それに、撮って7本脚だとわかった。これまでなら3時間後にパソコンモニターで見てがっかりするシチュエーションである。ジョロウグモでも脚欠けならば気合い120%の撮影になる。

3時間ほどで雨があがってグラスの水滴が乾いた。すなわち曇天時のテストもできる。やってみてありがたかったことに、レンズのチープさがちっとも気にならなかった。走っていれば常に視界は流れるから、ぼけてるとか、傷があるとか、細かいことは目に入らないのだ。アスファルトを歩くツチバチもカメムシも普通に見つかった。合格点をあげよう。正直言って、このアイウエアはサイクリング以外ではまったく使い物にならない。イライラして投げ捨ててしまう代物だけど。

まずはどんなものかな?と確かめるために最安のを買った。調子がいいから本物が欲しくなった。BBBという質実剛健でひいきの自転車パーツメーカーが同様品を販売している。BBBのアイウエアはすでに1個使っていて装着感も視野の良さも確認済みだ。老眼鏡でスモークも調光タイプもあるようだ。


2019.6.30(日)くもりときどき雨 ゴマダラカミキリタイプ

群青

多摩川の河口まで行ってきた。写真は終点の鳥居のある場所で撮ったもの。一見して明らかなように、ゴマダラカミキリ風にしてある。私の友人の美女たちはなぜかゴマダラカミキリが好きらしいので、ちょっとやってみた。マステを巻くだけの簡単な工作である。

老眼アイウエアがいい感じで、1年ぶりにPowerCalを使うことにした。PowerCalは心拍計であるけれど、心拍の数値の動きからパワーを計算するというすぐれものだ。設計の意図は良くわかり、トレーニングには歪計のパワーメーターよりも有効だと判断して使っていた。

残念なのはまともに動かない点だ。表示がとぎれとぎれでデータが信用できない。信号をガーミンが拾わないようでもうどうしようもない。当初の半年ぐらいはちゃんと動いていたのだが。

多摩川に行くには国道246号線を使う。246号線の馬絹を過ぎると多摩川へのショートカットの道がある。久地を流れ多摩川に注ぐ小さな川に沿った狭い道路だ。川を覗くとそこに睡蓮風の水草。黄色い花が咲いている。どうやらアサザである。アサザがこういうコンクリ張りの溝に自生するとは思えない。かといって、河川を管理する人が植えるとも思えない。わざわざ個人的に植えたい人がいるのだろうか。奇妙なことがあるものだ。


2019.7.03(日)くもり PowerCal

日曜に最初の30分だけ快調で、あとはぐだぐだになってしまったPowerCal。なんとか延命できないものかと接点洗浄剤で洗ってみた。おまけにリセット操作(電池を反対に入れる)をやった。そして装着してみれば、うまく動いている!

これで復活と安心するほど私もうぶではない。しばらく装着してデータのとれ具合を観察することにした。すると10分もしないうちに怪しげなことになって数値がでなくなった。日曜の症状の再現だ。やはりこれは使えない。

他に試したのは、もしかしたらバンドがキャットアイのものと共用できるのではないか、ということだった。これはやってみればなんの問題もないようだ。もちろん、PowerCalのバンドにキャットアイの本体もちゃんと動いている。つまり怪しいのはPowerCal本体ということになって、それは残念なのだけれどバンドの予備ができたことを喜ぼう。


2019.7.06(土)くもり 期待できるジョロウグモ

ジョロウグモ

先週のこと、アイウエアのテストのために何気なく手近な手すりのジョロウグモを撮った。それがたまたま7本脚で私の心の中で風船のように期待がふくらんだ。「もしかしたらジョロウグモの欠け脚が脱皮でもどることが確認できるかもしれない。」という期待だ。

この期待はもう10年ほど抱いているだろうか。庭にジョロウグモがたくさんいて、脚が欠けたものがまた多くて、脱皮で欠け脚が復活するのか?、そもそもなんで脚が欠けるのか?、というようにささやかな疑問をもった次第である。

この疑問に真正面から取り組むだけの根性はなくのんきなその日暮らしが続いているわけだが、そういうものぐさにもささやかなチャンスは訪れる。写真は当のジョロウグモから1mほど離れた巣にあった脱皮殻だ。すでに空き巣でご本尊は行方不明だ。脚はちゃんと8本そろっていることが写真ならわかる。こんな調子で7本脚の脱皮後の姿が観察できれば…

これまでの観察から、ジョロウグモは巣で脱皮することがわかっている。もし私の7本脚が脱皮して、巣に7本脚の脱皮殻を残して、8本脚で鎮座してたら、十中八九「ジョロウグモの欠け脚は脱皮で復活する」としてよいだろう。さて多くとも週に2回しかチェックしないものぐさ者にそれを確かめる幸運は訪れるのだろうか?

そういえば、脚欠けジョロウグモをひと月ばかり飼育して、脱皮させることができずにあきらめたこともあった。小さいジョロウグモの飼育は難しいだろうな。家でショウジョウバエをわかせるか、蚊柱を網で捕りまくるか…ものぐさ者には難しい。こういうチャンスを逃さずに努力して良い結果を残すのが偉人なんだ。


2019.7.13(土)くもり ジョロウグモの脱皮

ジョロウグモ脱皮殻

今日は境川。PowerCalが動くかどうか試したかった。二度あきらめたPowerCalだけどCATEYEのバンドを使えばなんとかなるという感触を得て、そのテストだ。ついでにフロントを40-36-26にしてみた。そちらはきまぐれというものだ。

何をおいてもチェックしなければならないのは鷺舞橋のジョロウグモである。期待を持って近づくならば、やつが脱皮していることはすぐわかった。巣に脱皮殻(写真)がついていたからである。7本脚のジョロウグモが脱皮して、さて欠けた脚は復活しているのだろうか?と、期待に胸ふくらませてマクロオートで撮影してモニターチェックをするならば、はっきりと7本脚が写っている。ちゃんと8本ではなく7本である。数え間違いのない角度で撮っている。

では結論は…ジョロウグモの欠けた脚は脱皮で復活しない…としていいのだろうか? それは早計というものだ。復活していたならば、それで結論だ。しかし「ないこと」の証明は慎重でなければらない。現に4本脚のクモが8本の脚を取り戻すのに2回の脱皮が必要だった例を見ているのだから。この先もこいつががんばってくれることを期待することにしよう。

さて自転車の方はPowerCalが動くのでたいへんうれしい。しかも老眼アイウエアのおかげで走行中でも数値が読める。今日は向かい風でも150bpm程度にしてLSDだ。


2019.7.14(日) 出嚢後

アシダカグモの卵嚢

窓ガラスに貼りついたアシダカグモと思われるクモの卵嚢を見つけた。ちょうど子蜘蛛がわらわらと出嚢しているところだった。子どもながらけっこう俊敏にガラスを走り回る。さすがアシダカグモだ。そしてガラスの透過光に透かされて内部の影が見える。まだ数匹がうごめいて脱出の機会をうかがっているようだった。屋外にも出られるよう、ちょっとだけ窓の隙間を作ってそのままにしておいた。

そして全員が退出したとおぼしき卵嚢をみれば、まだ子蜘蛛の影らしいものがある。娘は中で死んでいるのがいるという判断だった。ジョロウグモなんかの観察例から類推した私の見立てでは内部の影は脱皮殻だ。きっと1回だけ脱皮した後に出嚢してくるはずだからだ。

昨日、満を持して卵嚢を開いてみた。まず気づいたのが、茶色の影として見えていたものの正体だ。娘の予想は正しく脱出できなかった子だった。そしておびただしい数の無色透明な埃。そちらが脱皮殻だ。私の予想もあっていた。やはりアシダカグモは卵嚢の中で1回脱皮するようだ。そうならばけっこうな期間を卵嚢の中で過ごすことになる。よく母グモが卵嚢を運んでいる様子を目にする。なんらかのタイミング…孵化、脱皮…などに合わせて卵嚢を離すのかもしれない。

そしてかなりの数の黄色い粒がある。どうやらしなびた卵だ。無精卵なのかなんなのか孵化できないものがざっと200個ほどありそうだ。そして白いポップコーンみたいなゴミが首尾良く孵化できた卵殻だろう。試しに孵化できなかった卵を触ってみれば砂粒のように固かった。

美しく立派で王者の風格をまとうあのアシダカグモになるまでにはヒトには想像もできない苦難があるんだとあらためて思った。


2019.7.15(日)くもり 梅雨の半原越

半原越

梅雨の半原越はあきれるほどきれいだ。つまらないコンクリ壁だってコケが覆えば素敵に見える。

PowerCalの復活がうれしくて、それもCATEYEの600円ぐらいのバンドが復活の鍵だという安価さがうれしくて、久しぶりにストップウォッチを押して半原越。

路面に出てくる虫は思いのほか少ないものの、キツネとおぼしき獣が鳴き叫び、ひさびさにサンコウチョウを聞く。やっぱり梅雨の半原越は最高だぜ!

ふと一年中梅雨だったら素敵な自転車ライフを送れるんじゃないかと思う。水汲みに来る人も少ない。鳥や虫が騒ぐほかは静かで涼しい。いいことずくめだ。

コロンビアの太平洋側の高地は一年中梅雨みたいなもんらしい。一週間ほど滞在して青空が見えたのは30分ぐらいだった。森はじめじめの雲霧林。どこもかしこもコケだらけ。さすがにあれでは日常生活がしんどいと思い直した。

ラップタイム目標km/hbpmrpmWPCW
区間15'30"5'30"+1812.916780151244
区間211'30"6'00"+1211.916774173244
区間317'25"5'55"+712.217372166254
区間425'04"7'39"+279.617762167261
全 体+6411.517171164251

肝心のタイムは25分。今日の精一杯だ。最高心拍数も10拍ほど小さくなったもよう。数値を見るまでもなく急速に衰えていることを自覚している。その昔、25分で走れたらかっこいいな…とあこがれていた自分になれた。20分で走っているときよりもうまく乗れているというのが正直な主観だ。

ただしうぬぼれてはいけない。PowerCalが計測した値は公式で計算したよりも100W近く高く出る。体の特性もあるだろうけど、この差は端的には下手さの現れのはずだ。


2019.7.20(土)くもり 麗しの半原越

コケ

コンクリ壁にも各種のコケが生えている。近づいて老眼鏡で眺めればその種類の多さに驚いてしまった。半原越ってこんなにコケの種類が多かったろうか。その中の3つ4つは名前の見当がつくものの同定にはぜんぜん自信がない。まじめに勉強してこなかったからだ。写真はおそらくシノブゴケ。

暖かい曇り空でときおり細かい雨粒が落ちてくる。虫たちの活動の好機だと思うのだが意外に路面に虫の姿が少ない。虫がいないわけではなく希少種のジムグリが横切っていたりするのだが、いまいちいつものメンバーが見あたらない。アオオサムシやセンチコガネはどこにいったのか。雨のときにはうっとうしいほどいるミミズはどうしたのか。ふとずっと雨続きで自動車が少ないだけかもしれないと思いついた。轢死体がないから虫が見あたらないだけならうれしい誤算だ。

ラップタイム目標km/hbpmrpmWPCW
区間15'33"5'33"+2112.815273150214
区間211'51"6'18"+3011.316571164230
区間318'10"6'19"+3111.416368155227
区間425'23"7'13"+110.117459177259
全 体+8311.316467162233

自転車は25分を大きくオーバー。心臓が回っていないのは数値から明らか。心臓がいっぱいになるほど脚の筋肉を使えないのは体の感覚から明らか。ただ、ちゃんとがんばっている気はしている。年寄りとはこのような者なのか。悲しいものだ。


2019.7.27(土)晴れ ジョロウグモがいなくなる

タマムシ

2週間ぶりに境川。群青で出かける。今日境川に行くのはいうまでもなくジョロウグモの様子をチェックするためだ。うまくいけば脱皮で回復した8本脚が見られるかもしれない。

いそいそと鷺舞橋に駆けつけ、ジョロウグモが巣を張っていたところ…3本目のポールから6本目の支えの間…を見るならば、クモなど影も形もなかった。残念。あのとき捕獲して飼育すればよかったと後悔したことは言うまでもない。ただし同じチャンスがめぐってきてもおそらく飼育しない。

クモがいなければ境川に用はない。しかし、たまたま台風の南風が入っている。風を使って自転車の練習。向かい風を受け、脚をたたんで叩きつけるようにペダルを押す。天気予報を鵜呑みにしている者が多いのか道路に自転車はまばらだ。ためしに最大心拍数まで上げてみた。

川沿いには赤いオニユリが目立っている。2週間前はヤブカンゾウばかりだったのが完全に入れ替わった感じだ。そしてアブラゼミの声もちらほら。オニユリにはアブラゼミがよく似合うと思った。

境川には何か所か自動車が走る道路を横切るところがある。梨の木学園の交差点で通過する自動車を待とうと止まっていると、自動車のほうも止まった。私はすでに道路をタマムシが歩いていることに気づいて、そいつをどうしようかと思案しつつの停車だった。タマムシは欲しい人が2人いるから捕獲するかどうか迷っていたのだ。捕まえると自転車練習のじゃまになるけど、2人の喜ぶ顔も見たい。自動車が止まれば、その思いとは無関係に、自動車の前を通り横断することになる。そして自動車が再発進するとあのぷしゃっという甲虫がつぶれる音を聞いた。ちょっとだけ自動車の前で止まって拾い上げたほうが良かったかと後悔した。30分後にタマムシの死骸をチェックすると、数回轢かれたらしく自慢の翅はどっかにいって胸板は粉々だった。ま、タマムシならあとこの夏何回か捕獲チャンスはあるだろう。スルーかもしれないけど。


2019.7.28(日)晴れ 暑い半原越

トカゲ

今日は群青で半原越へ。台風が去って午前9時ぐらいには青空が広がっている。台風の名残はやや涼しい北寄りの風だけ。それなりに路面に落ち葉は流れ貼りついているものの、目立った落石、落木はない。

この夏は暑い日のサイクリングはやってないせいか暑さがこたえる。水場は日影で沢の飛沫もあってかなり涼しい。ニホントカゲが苔生した倒木で日なたぼっこをしていた。

職場の美女の気を引くために虫を探すサイクリングを続けている。今日はまずオトシブミの巻いた葉を見つけてそれにしようかと思った。ただオトシブミの卵ではちょっと寂しいものがある。路面に落ちているものだとすでに熱射で中身は死んでいるかもしれない。カラスアゲハとかウラギンシジミ夏型とかコミスジとか蝶もそれなりにいるけれど、網と三角缶を携帯するサイクリングはごめんだ。ジャコウアゲハの幼虫はけっこうプリティだが持ち運びが難しい。ましてやザトウムシなんてものは五体満足のまま運べるとは思えない。なにやらあわてて道路に出てきたアオオサムシを首尾良くペットボトルの空き容器に捕獲成功。じつは今日の獲物はセンチコガネだろうと予想して持ち運んでいたペットボトルだった。

ラップタイム目標km/hbpmrpmWPCW
区間15'26"5'26"+1413.015671153224
区間211'41"6'15"+2711.416969166242
区間318'03"6'22"+3411.316562153235
区間425'39"7'36"+249.617653168260
全 体+9911.216763160240

自転車は前回よりもタイムが悪いのにPCWが高いというがっかりな結果。ゴール間近の最終コーナー前で区間4のタイムを盗み見ればが6分55秒。じゃあ7分10秒ぐらいでまずまずかなとゴールしてみれば7分30秒をオーバーしていて驚いた。あの距離で40秒もかかるんだろうか? 半原越には逆ワープゾーンがあると信じたいぐらいのショックだ。

午後になると北風が止まって灼熱になってきた。ハーフをゆっくり走っていてもしんどい。いつもなら3度目、4度目で調子が出てくるはずだが、その予感が全くなかった。軽く走るときのハンドル押し動作がちょっといい感じになったことだけが収穫。ハーフも2回で切り上げた。


2019.7.29(月)晴れ 死んだオサムシ

日曜に半原越からオサムシを拾ってきた。ちょっと窮屈かもしれないけれどペットボトルに入れて、自転車のダウンチューブに刺して運んできた。その目的は職場の美女にあげることだ。彼女は死んだ虫を標本にするのが好きだが、生きた虫を飼育するのも好きである。これまでに生きた虫はアゲハの蛹とアシダカグモを渡している。

オサムシの飼育は容易だ。しばらく飼育した後に標本にすればよいと思って生体をあげることにした。いわゆる一石二鳥だ。という次第で山から持ってきたオサムシに一晩泊まってもらうことにした。ペットボトルでは窮屈だろうと虫用の飼育ケースを準備した。

ケースにはキッチンペーパーを敷いた。歩行の足場として、また隠れ場所にもなる。飲み水はペットボトルの蓋に入れておいた。たまたま食卓の上おいてあった桃の切れ端も入れた。オサムシは動物食で、以前飼ったときは煮たイカを好んで食べた。桃は食べないかもしれないけど邪魔にはなるまい。

オサムシはケースの中でしばらく歩き回っていたがすぐに落ち着いた。その亡骸を発見したのは朝のことだ。オサムシはケースの底で伏せの体勢のまま動かなくなっていた。甲虫にありがちの足を折ってひっくり返る体勢ではなかった。それで死んだと見えず、異変を感じて触ってその死を確かめた。寿命という感じではなく変死だ。

女房は深夜に異変を感じていたという。しきりに動き回っていたというのだ。オサムシが夜に動くのは通常のことだ。疲労で力尽きたんじゃないだろう。

私が思い当たる唯一の原因はキッチンペーパーだ。食品食器に触れるキッチンペーパーは人畜無害のはずだ。ただそれは人間相手のもので、虫にも安全とは限らない。もしかしたら私のキッチンペーパーは虫に有害な処理が施されているのかもしれない。現在市販されている台所用品には抗菌防虫的なものが多いような気がする。ずいぶん前にシロアリ駆除の業者に床下のシロアリを採集してもらい、飼育の手ほどきを受けたことがある。そのとき受けたアドバイスがふと頭をよぎった。「そのへんの紙を与えないように。あれはシロアリには毒だから。」

先に羽化させたベニスズメの蛹にも同じキッチンペーパーを使ったけれど、悪影響はみられなかった。次になにか捕まえたときに対照実験で確かめてみよう。


2019.8.2(金)晴れ 甲虫を拾う

甲虫2種

写真はコフキコガネとシロテンハナムグリだと思う。今朝、渋谷宇田川のアベマタワー前で拾ったものだ。渋谷の宇田川はセンター街の近くにあり決して虫の多いところではない。しかしこの夏、どういうわけかコガネムシ、カナブン系の甲虫死体がよく見つかる。それもアベマタワー前に集中しているのだ。

発生源として明治神宮が考えられ、光や風の加減でアベマタワーの下に落ちやすいのかもしれない。それが妥当な線だけれど、もう一つの可能性も考えている。

アベマタワーでは建物の建設時(先の秋)に敷地内に100本ほどのカシなどの樹木を移植している。その根元に幼虫・蛹がついてこの夏に羽化して来たのかもしれないのだ。来年も同じ状況が続くのならこうはならないだろうか。宇田川の他の場所ではカナブンやハナムグリを拾ったことがないからそう思った。


2019.8.3(土)晴れ 失敗したオニヤンマ

オニヤンマ

さあ今日も群青で半原越だ。半原越の路面は虫の多い季節になった。精一杯生きた梅雨どき虫の命の残り火が消えつつあるのだろう。

水場のオニヤンマは一仕事残っている。私のオニヤンマ観察ポイント半原越の水汲み場では1頭のオスが縄張りを守るかのように低く行き来している。飛翔するオニヤンマの勇姿はいっぺんでいいから写したい。TGー5の設定を望遠気味、マニュアルフォーカス、高速連写にしてトライ。チャンスは多かった。多いことはわかっている。オニヤンマだもの。

しかし使える写真は掲載の1枚だけ。使えるといっても、さてオニヤンマがどこに写っているのでしょう?という早押しクイズネタでしかない。オニヤンマにピントか来たのはこれ1枚だ。じつは連写の練習を全くしていないのだった。いざ本番で撮れるはずがない。

私の体にはフィルム時代の貧乏性がしみついている。フィルム換算では、今日のオニヤンマで無駄にした数十枚は5000円で成果無しという落涙物の結果である。デジカメに費用の心配は無用なことは頭ではわかっているのに。

自転車の練習も大事だけど、虫のことも大事な半原越だ。職場の美女に獲物を運ぶのが飼い犬のように誇らしいからだ。今日のターゲットはオトシブミにしているものの、コクワガタが歩いていたり、センチコガネやコフキコガネが転がっていると喜んでもらえるのではないかといつもより多めに拾ってしまう。練習どころではない。

そもそも練習してどうするの?という問題もある。練習してもタイムは上がらないだろう。道路に転がるヒグラシとかカマドウマはまもなく死ぬから道路に出てきたのだろう。元気なときはアスファルトに用のない虫たちだ。今日はカマドウマを2頭見た。1頭は道路の真ん中で後脚を上げて固くなっていた。轢死ではなかった。もう1頭も同じような姿勢で虫の息。すでにアリがたかっていた。さては寄生虫に操られて食べられやすいようにオープンエリアを歩いているのではないかと疑ってしまう。私の残された命もちょうど彼らと同じぐらいでシンパシー満点だ。でも、灼熱の中をふらふらになって登っていくのは好きだ。


2019.8.4(日)晴れ 一歩前進オニヤンマ

オニヤンマ

引き続き群青で半原越だ。なにはともあれオニヤンマがいるはずの水場に向かう。昨日の撮影は完全な失敗でいくつかの反省点が見つかった。望遠にしすぎてはいけない。オニヤンマの接近を過剰に期待してはいけない。絞りが追従できないから流し撮りはしないほうがいい。

以上の反省から、今日はワイドにして遠目(1.5mほど)に置きピンしてTG-5を振らずに撮った。何枚かフレームにオニヤンマが入ってピントのあった写真があった。そのうち一番いいのがこの写真だ。

この数年のプロのトンボ写真はとんでもないことになっている。なんでも一眼オートフォーカスでオニヤンマが撮れるらしい。それも30万円ぐらいで市販されている機材でOKらしいのだ。すごい時代になったもんだ。私はサイクリングついでの虫撮りなんでTG-5で十分だと強がってみる。

道路には虫の死体が多い。蝶とかトンボとかカミキリとか種類も数も多い。それでも10年前よりは減っている感じがある。とくにヘビが少ない。半原越はそのへんに生息する主だったヘビがけっこうな頻度で見られる楽園だった。自転車で走っているだけでシロマダラやタカチホヘビ、マムシなんかが見つかる場所はそうないだろう。

半原越に300mほど入ったところのコンクリ壁のところにきれいなセンチコガネの死骸が転がっていることに気づいていた。ストップウォッチを押していることでもあり、覚えておれば帰りに拾えばいいとスルーした。首尾良く忘れることなく降りてきて、記憶の場所を探ればすぐに見つかった。覚えのある個体のすぐ近くにもう一つあった。それも拾う。とその脇にももう一つ。それも拾う。3つ見つかれば異変に気づく。なんと驚いたことに10頭ほどの死骸が密集して転がっていたのだ。人のいたずらではあるまい。奇妙なこともあるもんだ。もう一つ、翅をたたんだトンボ的な虫の死骸にも気づいていた。黒っぽい地味な色合いで虫かどうかも怪しかったが、ついでに探してみれば、ツノトンボだった。事故死らしく首が折れている。拾い上げで臭いをかいでみた。あの奇妙な臭いはなかった。ツノトンボを壊さずに渋谷まで運ぶのは難しいからスルー。

小鮎川に降りて小さな橋を渡りながら川を見れば大きめな魚が群れている。近くにいるオイカワ♂の成魚の2倍はあろうかという魚だ。最初は鮎かと思ったけれど、顔つきが違うし群れるのも変だ。たぶんウグイなんだろう。地味な魚だが大きいのが元気に泳いでいるだけで視線釘付けだ。


2019.8.5(月)晴れ パワーキャルの使い方

ラップタイム目標km/hbpmrpmWPCW
区間16'12"6'12"+6011.416079132224
区間213'07"6'55"+6710.316972149240
区間320'33"7'26"+989.716568130232
区間429'57"9'24"+1327.816654134232
全 体+3579.616567136232
ラップタイム目標km/hbpmrpmWPCW
区間16'27"6'27"+7511.014676127190
区間213'31"7'04"+7610.115471145206
区間320'42"7'11"+8310.015570135206
区間428'49"8'07"+559.016463157232
全 体+28910.015570142209

先の土日の半原越を走った記録を検討してみた。ギアはいずれも26×23Tを使った。半原越のトライアルでは23Tはまず使わない軽いギアだ。初級者の弟子を教えるにあたって、この軽いギアで上手に走る方法を自分でも身につけておかなければ話にならなのだ。

軽いギアとはいえ80rpm以上にするのは困難だ。15分、20分と経過するにつれてどんどんペダルは重くなる。タイムは30分ほどかかっている。とっても遅い。猛暑の日でなければ80rpmは行けるだろうけど。

土日の比較が面白い。土日比較のタイムは+15秒、+9秒、−15秒、−77秒。日曜は1分以上タイムがよいのに10拍少ない。物理的なWは6程大きいのに、PCWが20ほど小さい。土曜日はスタートから気合を入れてたものだから、区間4では力尽きている。日曜は序盤抑えめにして終盤を上げ気味にしている。

心拍数を見れば土曜日には区間2でLTを超えているようだ。丸太小屋坂あたりで無酸素域に入れてしまって、後半に力を出せなかった。PCWの数字は一層面白い。土曜日は平均して230Wぐらいになっている。それが通常のパワーメーターであればよい走り方といっていいだろう。しかし、これはあくまでパワーキャルの数字だ。心臓の負担を数字にしているのだから、同じタイムなら低いほうがよいのだ。日曜の数字の方がずっといい走り方ができているのが体の感覚だけでなく数字でも見える。使って良かったパワーキャル。

しばらくは26×23Tの軽いギアを使いこなす練習を続けよう。


2019.8.6(火)晴れ モモスズメを拾う

モモスズメ

朝晩、虫が落ちていないかと探る通勤の日々が続いている。今朝一番多かったのがゴキブリだった。クロゴキブリの成虫死体を3頭、生きた幼虫を1頭見た。成虫死体は原型をとどめていたが拾わなかった。ゴキブリはいらないと宣言されているからである。

拾わなくてもゴキブリが転がっている原因は気になる。ゴキブリは好んで路上に出てくる虫ではないし、かんたんに踏まれるほどのろくもない。となると殺虫剤的なものにやられて苦し紛れに家から飛び出し斃死したという線も考えられる。だとしたらお互い不幸なことだ。

さて宇田川のアベマタワーは自分的に最高の昆虫採集ポイントになっている。今朝は完全に潰れたアオドウガネと写真のモモスズメを見つけた。アオドウガネの方はもうけっこう拾っているし、生きたのを飼育中ということなのでスルー。モモスズメは拾って美女にあげることにした。

モモスズメは落ちている状況から判断するに、灯火に飛来しヒトに踏まれたようだ。触角が1本かけ、胸がつぶれ、左前翅のスレがひどい。全体的には原型をとどめているからめでたく標本になることになった。彼女にしてみれば死に方こそちょっと残念だったかもしれないけれど、標本になることで一発逆転の勝ち組になったといえよう。

モモスズメは珍しい虫ではないし、別格の美しさがある蛾でもないけれど、標本になるだけの学術価値がある。アベマタワーに落ちていたからだ。


2019.8.7(水)晴れ センチコガネ

センチコガネ

半原越にセンチコガネの死体が10個ほど転がっていたのには少しばかり驚いた。群れる習性はないはずで、餌に寄ったとも思えなかった。しかも死んでいるのだから集まる原因は不明だ。

半原越に限らず神奈川県にセンチコガネは多いと思う。子ども時代を過ごした八幡浜でセンチコガネを見た覚えがなかった。子どもの間でも糞を食べる虫がいることは知っていて、それらを総称してセンチ虫と呼んでた。むろん嫌われもので虫狩りの対象ではなかった。甲虫でセンチ虫とよばれていたのは今にして思うとドウガネブイブイだったようだ。普通の子は昆虫の分類なんて興味ないのだ。私は図鑑で見るセンチコガネや大迫力のダイコクコガネはいつか捕まえたいと憧れていた。

こうして集めてみるとセンチコガネはいっそうきれいだ。体色に微妙なバリエーションがあり、標本として100匹も揃えれば壮観だろう。かといってわざわざ昆虫標本を作る根性はない。こいつらは残念ながら痛みがひどく標本には難しい。

私は昆虫標本の経験は薄い。中学生のときに見様見真似で蝶の標本を作っていた。裏山で採集した普通種ばかりだったけれど、それでも集めるのが楽しく、しげしげと眺めるのも楽しかった。


2019.8.8(木)晴れ アオカナブン

アオカナブン

昆虫採集場所として個人的に名高い渋谷区宇田川のアベマタワーでは、今朝アオドウガネとムシヒキアブと写真のアオカナブンを見つけた。拾う気になったのは写真の死体だけ。まずはカナブンかと拾い上げてみるとビカビカの金属光沢で、どうやらアオカナブンらしく標本候補となった。あいかわらず高確率で虫をゲットできる。

こいつもそうだが、先日渡したコフキコガネも見事な飛翔型標本になった。彼女の技に舌を巻いたのだが…。今日、カナブンの標本を作るにあたって初めてカナブンが前翅を立てずに飛ぶことを知って喜んでいた。虫好きとしては順序が逆だ。すてきな美女である。

昨夜からコオロギが聞かれるようになった。ビッビッビッビッビッビッビッビッと十数音つづけて4秒ほど休むコオロギだ。オカメコオロギかなにかなのだろうか。種名はいまひとつはっきりしない。こいつが聞かれるようになると立秋。そして今年、エンマコオロギはどうだろう。


2019.8.10(土)晴れ 焼けるアスファルト

ミンミンゼミ

今日も群青で半原越。さすがに8月の半ばともなると峠を渡る風に秋の臭いが混じってくる。産卵を期待して例の水場に行ったがオニヤンマの姿はなかった。そのかわりカラスアゲハが吸水していた。私もここで吸水する。

半原越のアスファルトに虫の姿は少ない。目立つのは赤黒く乾いたミミズばかり。何かの拍子にアスファルトに出てきて焼け死んだのだ。高温になる路面は虫にとって致死的なものだ。

写真はミンミンゼミのカップル。転がるようにもがいていた。オスはうるさくミーミー鳴いている。ひとまず写メ用に撮影して先を急いだ。折り返して登ってくるとまだアスファルトにいた。こんな所にいると死んじゃうぞと自転車を降りて手を伸ばすとオスメスともに動かなかった。わずか10分ばかりで完全に息絶えたのだ。

道ばたで10個ばかりオトシブミの葉巻を拾った。オトシブミは林縁の開けたところの葉を巻く習性があるらしい。そういうことなら半原越の路面で葉巻が目立つのもうなづける。路面に落ちた葉巻は直射日光に当たるならば致死的だろう。高温で中の卵がゆだってしまう。しかもタイヤに轢かれているかもしれない。路肩の日影になってコケが生えているところのものを物色した。これまで何度かトライしているけれど、葉巻から出てくる成虫を見ていない。今年は成功させたいものだ。

ラップタイム目標km/hbpmrpmWPCW
区間16'14"6'14"+6211.415378131210
区間213'31"6'51"+6210.416373150228
区間320'42"6'43"+5510.716275145227
区間428'49"8'03"+519.117163158248
全 体+23110.016372147228

自転車は前回と同じ調子で走ってみた。追い風が涼しく前回よりも1分ほど早い。しかしながら心拍数が高く、PCWは228もある。単に足のかかりがよくて張り切っただけだ。


2019.8.12(月)晴れときどきくもり ケセランパサラン

リンゴドクガ

昨日半原越で2、3の宿題を残してしまい、今日もいそいそと群青で出かけることになった。 その宿題の一つが道路にけっこう落ちている葉巻だ。あきらかにオトシブミのものとは違って大きい。わりと単純な巻き方ながら糸で縫い合わされたしっかりしたものだ。昨日、一つ拾い上げてご本尊を暴こうとしたものの、すでに自動車に轢かれたものらしく、葉巻の中には糞と虫の汁しかなかった。

まずはそいつのご本尊を確かめようと、新鮮っぽいのを一つ開いてみた。中には蛾の幼虫らしきものが潜んでいた。蛾の中にハマキガというグループがあるのがそれだろうかと思った。

写真は葉巻を探していたときに偶然見つかったケセランパサラン。こいつを最初に見つけた1998年の夏から20年の時を経ての再会だ。このケセランパサランがリンゴドクガの脱皮殻だとわかるまでにもずいぶん年数がたった。ケセランパサランという妖怪はずいぶんいろいろなものに化けるというけれど、こいつは白眉といっていいだろう。東北の山中で見つかったというウサギの冬毛に勝るとも劣らないと思う。ただしこいつは繊細で壊れやすく顔がはっきりしている丸いのは滅多に見つからないはずだ。

ラップタイム目標km/hbpmrpmWPCW
区間16'33"6'33"+8110.814175124172
区間217'17"7'44"+1169.214365132179
区間321'12"6'55"+6710.414972140195
区間429'09"7'57"+459.215964160221
全 体+3099.914869140192

自転車は好感触を得た。ついにPCWが200を切った。喜ばしいことだが、腕が上がったのだと思い上がらないほうがいい。今日の風は圧倒的に涼しく日差しもあまりなかったのだ。ケセランパサランの御利益ぐらいに考えておこう。


2019.8.13(火)くもりときどき晴れ一時雨 兵法の目付といふ事

美女のトリコをやっているぐらいで、虫探しには自信がある。虫探しといってもプロがやるようなものではなく、自転車の練習をしたり通勤をしたりするついでに虫を見つけることだ。天賦の才に恵まれているという自負もあり、この道は極めたいと思っている。

その自負心を打ち砕かれてしまうようなできごとが日曜の半原越で起きた。登っているとき道端に転がっているルリボシカミキリとスミナガシの死骸を目撃した。はっきり声にも出して宣言しその場所を記憶した。下りで拾うつもりで、振り返って下りで見えるはずの光景もチェックしたのだ。

ところが、いざ下ってその場所を探っても虫が見つからない。たかだか虫のことで、ヒトそのほかの動物がさっさと片付けたとも思えない。マムシの死骸であればトンビあたりがさらっていくだろうから消えても驚かない。カミキリや蝶が消えるのはどうしても解せない。かといって見間違いで片付けるには矜持が許さない。

日曜は単独練習ではなかったため、探るのも三度までにして引き上げたが、月曜にも半原越を訪ねた。一番の狙いはルリボシカミキリとスミナガシであることは言うまでもない。かなり入念に探ったが見つからなかった。期待してもいないリンゴドクガが見つかったのは幸運であったが、目的の虫は見つからなかった。もし見間違いであるならば擬態が考えられる。

虫は擬態するものであるから、虫ではないものが虫に擬態することにもなる。ルリボシカミキリを見つけたあたりには水色の紐のようなものが転がっていた。擬態としては低レベルで、そんなものに騙されるようでは初級者だ。スミナガシが転がっていたはずのところには泥岩がある。枯れ葉にまじって割れ目が新鮮な黒い石ころがある。光線のかげんで断面をスミナガシの翅と間違えるおそれはある。しかしいくら自転車からの観察とはいえ、見慣れている石ころを蝶だと思うようでは、初級者のそしりはまぬかれまい。

私の虫探しの極意について最近思うことがいくつかある。宮本武蔵五輪書にある『兵法の目付といふ事』の段を読むと「眼の付け様は、大きに広く付るなり。」とある。確かに、私のような上級者であれば、虫が見つかるときは向こうの方から目に飛び込んでくるものである。季節、時間帯、場所によってどういう虫が現れるかと予想は立てているし、小さな物のかすかな動きに瞬時に反応できる。そもそも自転車の練習とかサラリーマン通勤の最中なのだから血眼で虫を探しているわけではない。観の目で見ているわけである。渋谷の商業ビル街に落ちている虫にはそこにいる必然性がないので注視すべきポイントもない。

卓球でもそんなものだろう。虫探しと違って卓球はからきしだが、その極意は想像できる。見て判断して動いているようでは話にならない。達人はきっとわけもわからず体が反応しているはずだ。そしてもう一つ最近気づいたことがある。

テレビはON AIRをみることは少なくて録画したものばかりを見ている。宇宙人とか広瀬すずの映画とか長尺物が多い。もちろんテレビ画面を見ているのだが、ビデオデッキのカウンターがふと気になってその数字に目を移すことがある。そのとき時間が22分22秒とか33分33秒などになっている。そろっている数字をありえないほど大きい確率で見るのだ。概算したところ期待値の100倍以上になった。宇宙人のテレビが大好きな私は超常現象の素人ではない。暗合の説明でよくある「たまたま強く印象されているだけで、科学的には確率で説明ができる範囲」という説明は当てはまらない。

私はモニターで宇宙人とかサスクワッチとか広瀬すずを見ているのだけど、視界の隅にはデッキのカウンターがあり、無意識では常時カウンターの数字を読んでいるのだろう。通常は「無視してよし」と処理されている事象であるけれど、数字が揃うとき「注視すべし」という命令が下されるのだと仮設している。


2019.8.17(土)晴れ スミナガシ再び

スミナガシ

群青で半原越。C2という白サドルを見限って黒サドルにした。ステムを上げ、角度を調整しつつの登りにした。

当然のことながら水場でオニヤンマの産卵を狙うのだが、オニヤンマはオスが1回姿を見せただけだった。水場に自動車をつけて水汲みをする人が多く、オニヤンマは産卵場所として不適と見ているのかもしれない。

そのかわりやってきたのは写真のスミナガシ。先週に死体を見たような見なかったような因縁の相手だ。今日はカンペキ。赤い口吻を伸ばして吸水している。しっかり翅を開いて撮らせてくれた。

ラップタイム目標km/hbpmrpmWPCW
区間16'25"6'25"+7311.016083127230
区間213'17"6'52"+6410.417080150243
区間320'17"7'00"+7210.4316878138240
区間428'36"8'19"+678.817367153252
全 体+27610.016876143241

自転車は25Tにかけてスタートするというありがちなミス。どおりでクルクル回ると思った。


2019.8.18(日)晴れのちくもり 暑苦しい半原越

群青で乗り出してみれば蒸し暑い。気温はそれほど高くないものの湿気が強くて自転車がしんどい。空冷が効かないからだ。今日はしんどいことになりそうだなと半原越。

登りにかかるとやっぱりだめだ。目的の水場もだめだ。水汲みの自動車が順番待ちをしている状態でオニヤンマも産卵どころではないだろう。収穫といえばマムシぐらいだろうか。今年2つめ。ただし轢死体だっていうのはちょっと残念。二次被害を懸念して道ばたに棒でぶら下げておいた。トンビにでも食われるといい。頂上付近でミヤマクワガタ♀が歩いていた。これはおみやげだ。生体を運ぶのは難しい。フィルムケースでは蒸れるのが心配だ。網籠的なものがあればいいんだけど…そこまでは。

ラップタイム目標km/hbpmrpmWPCW
区間17'17"7'17"+1259.713767111167
区間215'32"8'15"+1478.714261123171
区間323'41"8'09"+1418.814261118173
区間433'08"9'27"+1357.715254134200
全 体+5488.714460122178

2019.8.24(土)晴れのちくもり 晩夏の半原越

かっと日が照っても暑くない。いよいよ秋だと群青で半原越。清川村でクサギの花を訪れているモンキアゲハを見つけた。やっぱりアゲハはモンキアゲハだ。50年ほど前、はじめてネットインさせたときの感触はまだ残っている。蝶が頭上を飛び越える刹那、反射的にフルスイングしたのだった。蜜が欲しいようで長く滞在している。残念ながら沢の対岸で撮影はできなかった。

半原越ではツクツクボウシのシャワーだ。夏の終わりを告げるセミの声だ。路面にはセミの死骸が目立つ。水場にオニヤンマが来ている。最高で3頭が視界に入った。ただしオスばかりのようでしきりに縄張り争いをしている。産卵に立ち会える可能性はまだあるだろう。

タイム目標bpmrpmWPCW
区間16'18"+6613878130175
区間26'48"+6015374151197
区間36'44"+5615174144198
区間47'45"+3316366164229
全 体27'35"+21515273148200

自転車は今日も23Tを使って軽く走ることにした。涼しくなったとはいえ80rpmで回すのはけっこう難しい。ふと80rpmという数値に30km/h巡航が思い出された。平坦では楽で速いけれど登りには太刀打ちできない走り方だ。30km/h巡航の最適値が80rpmなのだ。ということは 23Tを使えば半原越でもゆるいところはそれでしのげるんじゃないかと思いついたのだ。5%以下のところでやってみるとやっぱり遅かった。楽だけど。


2019.8.27(火)くもり一時晴れ 庭の7本脚

ジョロウグモ

今年は、ジョロウグモの欠けた脚が復活しない例を1件だけ目撃できた。これで「復活できない」方向に天秤が傾いたことになる。ただし断定は危険である。引き続き観察は続けなければならない。

写真は庭のジョロウグモである。年々坂道を転げ落ちるように寂しくなっていくわが家の庭であるけど、ジョロウグモは今年も数頭いて、うち2頭が脚欠けになっていることを確認している。その1頭だ。

私はこの個体はもう脱皮しないだろうと思っている。成熟したメスのサイズからすれば半分、3分の1という程度でしかない。感覚的にはまだ脱皮によって成長しそうだ。しかし、このぐらいのサイズのものをひと月ばかり飼育して脱皮しなかったことを確かめた。また、早い個体では8月の終盤には産卵もしている。それは神奈川ではなく高知での観察例であるけれど。いずれにしても庭のクモだから毎日の観察は続けてみよう。


2019.8.31(土)晴れ 秋を告げる虫

イチモンジセセリ

朝、庭のジョロウグモを見に行くと、7本脚にオスがついていた。6本脚は行方不明だ。しばらく元気がない感じだったから二度と会うことはないだろう。

早朝はくもっていた天気はすぐに良くなって、空に巻層雲が広がった。日暈も環水平アークも出た。残念ながらはっきりしたものではない。昼頃には巻雲が消えすっきりした青空が広がった。

いつものセブンイレブン裏に座っていると秋の気配が満点だ。イチモンジセセリやウラナミシジミが飛び交うようになった。足元ではエンマコオロギが鳴いている。セブンイレブン裏の水路は夏の草刈りが入らなかった。いつも座っている所はアレチウリに覆い尽くされている。その花もポツポツ咲いている。

自転車は30km/h巡航で流そうと思っていた。走り始めてみるとけっこうな南風でつま先を使う上げ脚を加えて負荷をかけてみた。体重を使うほかに負荷のかけ方にもいろいろあるのだ。


2019.9.7(土)晴れ オトシブミが出てくる

ウスアカオトシブミ

これといった成果もなく半原越から帰ってきてベルタの録画なんかを見ていた。引き続き宇宙人とUFOのドラマを見ようと思った。その前に、ちょっとオトシブミの世話をしようと…。

オトシブミをひとつかみばかり入れているアクリルケースを見れば、赤い小さな虫が貼りついている。一瞬何かわからなかったけれど、オトシブミに違いあるまいと見つめればオトシブミらしい特徴が確かにある。慌ててカメラを用意して撮影したのが今日の写真。図鑑で名を調べるとどうやらウスアカオトシブミらしい。予想していたよりもずっと小さなオトシブミで体長は5mm程しかない。葉巻が単5電池ほどもあるから、もっと大きい成虫が出てくることを期待していた。

この20年ほど、幾度かトライした試みだったけど毎回失敗していたのだ。原因は工夫のなさと怠惰だった。その日々は反省しなければいけない。それでもかなりうれしい。


2019.9.8(日)晴れ 積雲

積雲

群青に乗って境川に出ると雨粒が落ちてきた。日は射している。いわゆる天気雨というやつだ。南の海上から台風が接近しているからその影響だろうか。

午後には写真のように丹沢、多摩にぼこぼこと積雲がわき始めた。どれもこれもでかくて背が高い。雲頂は丸く上昇気流がよく回っているようだ。2時頃では積乱雲にまで発達するものはなかった。大きいけれど臨界を吹き抜けるほどの威力はまだないのだろう。

いまカミキリとオトシブミを持っている。一応ペットなので餌もやりたいのだが何を食うのかよくわからない。カミキリは梨をやったら食べていたからそれでいいとしてもオトシブミのほうは梨に興味を示さない。幼虫期はミズキあたりで育ったのだろうからとミズキの葉を与えることにした。幼虫と成虫で食性がかわることは虫に普通だ。うまくいく保証はない。


2019.9.11(水)晴れ一時雨 オトシブミ

落し文

写真は「落し文」である。オトシブミが卵を産み付けて葉を巻いて落とし、幼虫が育って中から成虫が出てくる。写真のものはすでに成虫が出た後で、脱出口らしい穴が見える。これは半原越から拾ってきたものだ。もともとは鮮やかな緑色をしていたが、すぐに枯れて黒くなった。幼虫は枯れた葉を食べることになるはずだ。それでもいいのだろう。

半原越で落し文を拾ったのは8月の半ばだった。まず出てきたのは赤くて首の短いタイプでウスアカオトシブミだろうと思った。数日して首が長く若干大型のものが出てきた。種類が違うのかオスメスの違いなのか不明だ。同じ形状の落し文を数か所で拾っており別種という可能性もある。

クビの短いほうは5日ほどで死んだ。衰弱死だと思う。飼育がうまくいかなかった。甲虫だから果物を食べるのかと梨、ぶどう、リンゴを与えたが興味を示さなかった。幼虫期に食べていた葉を食うかもしれないとミズキを与えた。半原越ではミズキかフサザクラの下に落ちている印象があったからだ。そちらも食指は動かさなかった。

半原越のオトシブミはどういう生活をしているのだろう。落し文を拾えるのは初夏と盛夏の2回だ。オトシブミの種類が違うのかもしれないし、年2化なのかもしれない。

今回出てきたものがこれから産卵して葉を巻くことはなさそうだ。葉はすでに固くなり、巻くのに困難がありそうだ。幼虫の餌として適さないのじゃないだろうか。秋は半原越のアスファルトに落し文を見ない。もしそうであれば、今どきの羽化個体はそのまま越冬して初夏に産卵することになる。その間、どういう生活をするのだろう。しばらくは普通に生活して冬眠するのだろうか。それまで何を食べるのだろう。もしかしたら、速やかに土中に潜るなどして越冬体勢をとるのだろうか。私の飼育ケースでは越冬に入るような気配はなかった。今回はいろいろの謎掛けをされた。落し文の世話の仕方は検討がついたから来年も挑戦してみよう。

アゲハはクスを食うという噂を聞いて、取り急ぎクスの葉を拾ってきて庭のサンショウについている幼虫に食わせてみることにした。


2019.9.15(日)晴れ コイの繁殖

コイ

群青で日曜午前の境川へ。GoPro HERO7というビデオカメラを装備してちょっと調子に乗っている。昨日、半原越で撮影してみていい感じだった。境川でもいろいろ撮ってみたい。

境川に行けば湧水を覗き込むのは習い性だ。先の台風では増水が越流堤を越えたはずだ。遊水地は立派に機能しており大清水橋での増水記録をサイトで見れば2mほどでしかなかった。湧水も増水の影響はなさそうだ。秋に優占するミゾソバは青々した葉を広げている。ただ鷺舞橋の直下にあるヤナギは倒れている。ほかのヤナギもやられている。かなりの強風が吹いたらしい。

まあこんなもんだと眺めているうち写真の光景が目に入ってきて驚いた。2匹の魚がおりそれがどうもコイの若魚らしい。境川にはおびただしい数のコイが放されている。そろいもそろって50cmもある立派なものばかり。食用鯉なら出荷できるサイズである。コイを放つとしてなんで大きなものばかりを選ぶのかイミフである。川を見るのが楽しみだけど、大きく育った魚がいるのにその幼魚が見あたらないのはかなり不快だ。コイが群れる流れはテンション下がりまくりなのだ

境川の放流コイの産卵らしい行動は桜の季節に見ている。しかし、幼魚っぽいのはこれまで全く見られなかった。そのため飼育鯉は河川では子を残せないと思っていた。写真の魚の体長は放流コイの半分から3分の1という体だ。フナはそこまで大きくならない。オオクチバスとはシルエットがちがう。もしコイであれば若魚ということになる。遊水地の池は深さがあり水草もある。コイの繁殖は可能だろう。食用鯉でも自然繁殖しているらしい。


2019.9.19(木)晴れときどきくもり 昆虫マニア

オオスカシバ

私がトリコをやっている職場の美女は昆虫の標本作りを趣味にしている。今朝は彼女がアオスジアゲハを物欲しそうに見ている所に遭遇した。渋谷の東急本店前にあるクスノキの下だ。奇しくもそのクスはアゲハがクスを食べるかどうか実験のために葉を2枚ほど失敬したこともある由緒ある木だ。「こんどいっしょにアオスジアゲハを採りに行きましょう」というのは彼女の10%本気の社交辞令だ。

虫を拾ったらひとまず彼女の所に犬のように運んでいる私であるが、昼には渋谷のアベマタワービル下で写真のイモムシを見つけた。オオスカシバの色黒幼虫のようで、内臓を出してつぶれているところを見れば、人に踏まれたらしい。さすがにこれはいらんだろうがとひとまず写真だけは撮って確認してみることにした。

写真を見せてたずねたところ、やはりいらないらしい。つぶれたイモムシを標本にする技術がないというのがその理由だ。生きているものなら飼育するという。

というように確保すべき虫のハードルが日に日に下がっている。これまできれいなもの、形の整ったもので彼女が持っていない虫を選別してきた。いつも行くセブンイレブンは虫がたくさん迷い込む。前回は、アブ、アリ、ガ、チョウがわんさかいたのだが、どれも地味な普通種ばかりで、さすがにこいつらはいらんだろう、でも念のため記録だけはとスマホで撮っておいた。オオスカシバのついでに「こういうのはいるのか?」と彼女に尋ねると、3秒眺めて「全部いる!」と真顔で応えられた。

なんでも本当は解剖学者として活躍したかったのだが、道を踏み誤って今の職場に来たらしい。珍奇、美麗な昆虫を手元に置きたいというよりも、繊細な手作業を虫相手にやることに喜びを感じているというのだ。私も養殖業をあきらめてしがないサラリーマンになり、自転車練習の途中で気がついたら30分も川魚を眺めている。その気持ちはわからんでもない。

さて次回のサイクリングは道路にしこたま落ちているはずのウシアブなんかを拾うことになるのだろうか。


2019.9.22(日)晴れのちくもり 小さいアゲハ

アゲハ脱皮殻

写真はアゲハの脱皮殻だ。体長2センチ5ミリはアゲハとしてとても小さい。出てきた成虫も巨大モンシロチョウレベルだ。

こいつが小型なのは理由がある。もとはといえば女房が庭で育てているサンショウについた、いわゆる害虫であった。害虫は駆除されるさだめであるが、こいつだけは保護された。娘が「ナミアゲハはクスを食う」という情報をネットから得ていたからだ。「そんなバカなことがあるか」というのが正直な感想だ。しかし小保方さんのSTAP現象の例もある。追試できるならすべきだ。しかも材料はいくらでも転がっており簡単である。

こうしてこのアゲハはつぶされた仲間をさしおいて私のペットになったのである。しかしこいつにはもしかしたら駆除されたほうが良かったと感じたかもしれない過酷な運命が待っていた。餌はクスである。クスの葉にのせると一瞬だけ興味をしめす仕草をした。飢餓状態においていたから。しかしすぐ逃げるようにクスを離れた。まったく食べる様子がないので、ミカンの葉を与えるとむさぼり食った。そして念のため、もう一度飢餓状態においてクスを与えた。やはり食べなかった。

私はクスを全く食べないナミアゲハを少なくとも1頭見たことになる。こいつは体が小さいまま蛹化して小さい蛹になった。成長は足りてないけれど時間が待ってくれないのだろう。今年羽化する最後の世代かもしれないのだ。

毎日、極小蛹を見ていて胸が少し痛んだ。もしかしたら羽化できずに死ぬかもしれないとも思った。そんな身勝手な心配を他所に今朝、蛹は真っ黒になって羽化間近の兆候を見せていた。そして自転車遊びから帰宅すると小さなアゲハになっていたのだ。かわいそうなことをして申し訳なかったとすぐさま野外に放してやった。ずいぶんいじめたもんで浦島太郎の亀よろしく帰ってきて竜宮城に連れて行かれる心配はないが、女房は「あれがまた戻ってきてサンショウに産卵したら困る」と心配している。なるほど…次はアゲハに帰巣本能的なものがあるかどうかの実験をしなければならないようである。


2019.9.23(月)晴れ 望遠観察

モンクロシャチホコ

写真はモンクロシャチホコだと思う。雨上がりの葉陰に群れて悪事を企んでいるようすだ。こいつらはジューンベリーの木で毎年継続して発生している。小さいときは群れて、成長すると散らばって葉を食い荒らす。多いときはジューンベリーの半分ほどが裸にされた。こまったやつらであるけれど、葉が固くなって役割を終えやがて紅葉…という季節にわざわざ葉を食うところが憎めない。


カナヘビ

モンクロシャチホコを撮っていると、隣家のヤブガラシに違和感があった。なにかいる。大きな蛾の幼虫かもしれない。ヤブガラシはすでに葉を食い荒らされている。セスジスズメあたりだろうか、犯人は見ていない。肉眼では違和感の主がわからないから、望遠レンズをカメラにセットした。以前、このあたりにいろいろ虫だの鳥だのがいたときは手元に望遠カメラを置いていたものだが、今ではすっかり出番がなくなった。

300mmで覗いてみれば、カナヘビだった。木登り上手なカナヘビはヤブガラシに来る虫を狙っているようだ。カナヘビは数年前、イエネコが庭をうろついているときは絶滅に瀕していた。


ジョロウグモ

ジョロウグモはこのメスだけが残っている。こうして見る限り順調に生育しているようだ。オスもついている。わりと大きめな脱皮殻があるのは要注意だ。9月になっても脱皮をする可能性があるということだ。8月終わりになって、ジョロウグモっぽい姿になった個体のチェックも怠らない方がいいだろう。脚欠けだった2頭は先の台風のとき早々に姿を消したのだが。


アゲハ

アゲハがやってきた。小さいアゲハだ。小さいとはいえ昨日放したものよりは2回りも大きい。ヤブガラシの蜜でも求めているのだろうと思ったが、花への執着はそれほどでもない。日光浴をするような時間の方が長い。まだ体が暖まっていないのかもしれない。


2019.9.28(土)晴れのちくもり 寄生バエ

寄生バエ

近所のミカンの葉にいたアゲハの幼虫を持ってきて飼育していた。アゲハはクスを食うという噂の検証のためだ。すでに1回庭で発生した個体でやってみて食べなかったが、念のためにもう一回トライすることにしたのだ。

幼虫はクスを食わなかった。2回目でもあることだから絶食状態に置くのはかわいそうだと、早めに実験を切り上げてミカンの葉を与えた。その甲斐もあってか、通常サイズの蛹になり、あとは羽化を待つばかりとなっていた。

異変に気づいたのは木曜夜のことだ。娘が飼育ケースを這う大きめのウジ虫を見つけた。どう見てもハエかアブの幼虫である。当然のことながらアゲハが寄生されていたんだろうと、その蛹を確かめた。驚いたことに蛹には寄生虫が脱出した痕跡がなかった。アゲハの蛹は何事もなくケースの壁面に貼りついている。じゃあ何だ?といろいろ仮説を立ててみたものの、どう考えても寄生虫という答えしか思いつけなかった。もう一度蛹をよく見ようと、娘がLED懐中電灯で透かしてみれば、やはり蛹の大半は空洞になっていたのだった。割れ目も見えないぐらいきれいさっぱりと脱出して来たようだ。その様子は一見の価値がありそうだ。

ウジ虫はせわしく動き回っている。どうも蛹化の場所を探しているらしい。常識的に考えて土中にもぐって蛹化するんだろうと思った。土を入れてやるまでもないとティッシュを入れておいたらその中で蛹になっていた。繭は作っていない。蛹の形はいかにもハエであり、寄生バエの一種なんだろう。うまいこと羽化して来れば種名がわかるかもしれない。


2019.10.5(土)晴れ GarminVIRBedit

GOPRO

GoProHIRO7というカメラをゲットした。これが思った以上に写るので結構嬉しい。ブレをおさえることができワイドな画角があって自転車に取り付けると猛スピードで疾走しているかのようなビデオになる。そうやってサイクリング風景をとるだけでなく、写真のように走行データをオーバーレイさせると練習に役立つ。

写真は半原越を走ったときのビデオからキャプチャーしたもの。GarminEDGE500で取得できるデータはすべてオーバーレイさせることができる。パワー(W)も表示可能だが、ここには入れていない。というようにデータの選択ができデータの配置やデザインの変更が可能だ。その操作はGarminVIRBeditというソフトで行える。

多機能で使い勝手のよいGarminVIRBeditであるが、デフォルトでは使い勝手の悪い部分もある。耐えがたかったのは距離の最小単位が0.1kmだったこと、ラップタイムの1000分の1秒が余計だったこと、速度の少数点以下がなかったこと。

いといろ探って、これらはなんとか解消することができた。小数点以下を何桁にするかはJSONにある値を変更すれば設定できる。ラップの"1000分の1秒"、経過時間"の時間"はデザイン的に表示の外に追い出すことで見えなくできた。余計なマットやテキストは編集ソフトβ版で簡単に消せた。こうしてようやくOKといえる状態になったのが今日の写真だ。

自分流にアレンジした表示はテンプレートで保存できるので手探りの試行錯誤版とはいえ作ってしまえばこちらのもんだ。GarminVIRBeditはたいへんすぐれたソフトでこの先どんどん広まっていくだろう。それに合わせて使い勝手の向上が期待できる。


2019.10.14(月) 台風あとの半原越

ジョロウグモ

台風19号の影響を見る必要もあって半原越へ。朝から小雨、午後からは本格的に降るという予報。気温は15℃ほどで合羽を持っていくことにした。この気温と小雨だと濡れるか蒸れるかの選択にせまられることになる。

荻野川に出るとエビガラズズメの大きな終齢幼虫が道路を横切っていた。今年もエビガラズズメがもぐる季節になったのだ。半原越までは特段変わった様子はない。荻野川の水はよく澄んで底が見える。砂泥が新しくなって堰堤の苔がとれ白いコンクリートが丸見えだ。

半原越は通行止めになっているという情報があった。どれほどの被害なのか確認しておきたい。橋1の手前で小さな崖崩れがあった。道路に泥が溜まってよく滑る。木々の様子は普通。折れた枝葉が多いという感じでもない。リッチランドを過ぎたところでも土砂崩れ。ゲートには通行禁止の立て札があるけれど先をチェックするためスルー。

ハーフから200m程行ったところで土砂と倒木が道路を覆いガードレールが破壊されている。これでは自転車で走ることはできない。たまたま神奈川県の関係者らしい人物がいたので状況を尋ねてみた。土砂崩れは複数あって、愛川側のほうがひどいらしい。歩いて様子を見に行くのは面倒だ。法論堂川は濁流になってはいないから壊滅的というわけでもないだろう。先の台風では1年以上通行止になったこともある。それよりは軽いと期待しよう。

写真はジョロウグモ。今年はどこに行ってもジョロウグモが多い。清里にも多かった。清川村の電線にはおびただしい数の巣がかけられている。半原越では風よりも雨だったようだけど全く無傷、台風などどこ吹く風という風情だ。ジョロウグモの巣のしなやかさと堅牢さは感心するばかり。


2019.10.19(土)くもり 事件性

オオクチバス

群青で境川へ。いつもの湧水を覗くと3つの大きな魚影があった。すぐにオオクチバスだとわかった。湧水を覗いてオオクチバスが見つかるのはまれだ。バスのほかにも大きな黄色い亀がいた。亀の正体を探りたかったがすぐに草むらに姿を消して見えなくなった。アカミミガメにしては色が薄い。捨てられた珍種の予感がする。

鷺舞橋のちかくの草むらにずいぶん白いチョウが飛んでいる。30匹ほど数えられた。モンシロチョウが大半のようだがモンキチョウもいる。翅が黄色いのでそれとわかる。いずれも新鮮な個体で、交尾をせまり、花の蜜を求めて低く飛び交っている。

今の季節にモンシロチョウは少なくないとしてもこの一角だけに群れているのは奇妙だと思った。鷺舞橋のモンシロチョウだけが一斉に羽化してきたのだろうか。事件に立ち会った感がある。

帰宅すると玄関に黒い毛虫。白い毛がまじってきれいだ。ナシケンモンっぽいが種名はわからない。しばらく庭の観察をしていない。いまいるジョロウグモ♀は3頭。風雨に負けずがんばっている。そのうち産卵にこぎつけそうなのは1頭だけだけど。いつのまにかアカマンマが咲いている。そろそろクロナガアリが巣から出てくる頃だが、今年も健在だろうか。10年以上観察を続けている巣だ。


2019.10.22(火) 雨の境川

クビキリギス

雨は昨夜から降り続いている。南海上にある台風からの雨だろう。半原越は通行止め。この雨の中を半分しか走れない半原越でもあるまいと群青で境川へ。先週はアブラゼミが聞かれたが、この雨ではダメだ。今年はもう聞くこともないかもしれない。生き残っているやつはけっこういるんだろうが。エンマコオロギもまばらになった。

雨のときは雨らしい生き物がアスファルトで見つかる。けっして多くはないのものの、カタツムリ、コウラナメクジ、アマガエルなんかが定番だろう。ちょっとかわったやつでは写真のクビキリギス。見つけてすぐになんで?と思った。見渡せば土手に草刈りが入っている。草刈り機に追い出された模様だ。不機嫌そうに腹を持ち上げている。寒いは追われるはで気が滅入って動けないのか。ちょうど自動車が通るところなので避難させることにした。あっさり手で掴めた。やはり寒さに動けないのか。こいつは成虫越冬組だと思われる個体だ。寒いときは動かないという技で冬期を堪え忍ぶのだろうか。

降っても晴れても相変わらず多いのがエビガラスズメのイモムシ。幸い人通りが少なく轢死体は見あたらない。何かに駆られて道路を横切るのだろうが、冒険の先に新天地はないことを私は知っている。

これもイミフに出歩くのがトタテグモ。一年に一度ぐらい見かけることを思えば、かなり頻繁に道路を歩いているはずだ。その意図が判然としない。地面に巣を作るクモなので、場所探し、あるいは異性探しなんだろうか。

北風とともに落ちてくる雨はおもいのほか暖かかった。自転車も歩行者も少なく快適に向かい風練習ができる。セブンイレブン裏で雨に打たれつつコーヒーを飲んで、毎回こんなだと境川も天国なんだが…と思った。


2019.10.26(土)晴れ クロナガアリが健在

クロナガアリ

朝、雑草を除いてクロナガアリの巣口を見れば、たくさんの働きアリがササガヤの種を運んできた。今年も庭のクロナガアリは健勝のご様子でたいへん喜ばしい。

アリを見てからは女房と自転車。半原越がいまいち通れないからと鳶尾山に行くことにした。鳶尾山は中津川からゆっくり走っても15分程度で越えられる小さな峠だ。ただその植生がすばらしく、大きな桜やシイもある。この辺では走ってみたくなる数少ない道だ。

鳶尾山にはおびただしい数のジョロウグモがいる。今年はどこに行ってもジョロウグモは多い。その巣がどうも新しい物ばかりだ。台風の影響は道にも森にも見あたらないけれど、ジョロウグモは巣を張り替えているようだ。


2019.10.27(日)晴れ 種を集めてくる

アカマンマ

午前中は庭の観察。クロナガアリがササガヤを集めるのを撮影。やっぱりアカマンマの花を撮る。両者ともしだいにマンネリ感が漂う撮影になってきた。もうちょっと光の具合を考えれば新境地が開拓できそうだ。

アカマンマを撮影してから女房と境川で自転車の練習。境川の水はすでに澄みとうとうと流れている。普段は遠慮がちな境川の水が自信にあふれているようだ。路面をあるくイモムシは全部セスジスズメだった。エビガラスズメしかいなかったりセスジスズメばっかりだったり面白いものだ。

いつものセブンイレブン裏で休憩。あいかわらずナガコガネグモは水路に多い。カマキリが水路のコンクリを歩き、ナナホシテントウがジュズダマの葉に止まっている。ヒメアカタテハがタンポポに執着している。太陽光線の元でとても秋らしく見える素敵な蝶だ。例年ここでヒメアカタテハを狙ってみる。

女房も自転車に乗れるようになってきた。今日はついに30km/h巡航の方法を教えた。ホンモノのテクを練習しても良い頃合いだ。

境川沿線のセイバンモロコシはクロナガアリの餌として毎年採取している。みのりがいいものはすでに大半の種を落としている。群落によってまだみのっていない株もあり、円熟しているものとの差が大きい。夏の草刈りの影響があったりするのだろう。ざっと一握りの種を集めた。女房のアイデアでネコジャラシも3穂ばかり採取。さてクロナガアリはネコジャラシを食べるだろうか。帰り道、246号線に登る道でツクツクボウシを聞いた。アブラゼミは期待しているけど、ツクツクボウシは驚きだ。はっきり聞こえたものの林からではなく工場の物置場なので幻聴かと思った。おそらく最遅の記録のはずだ。


2019.11.2(土)晴れ ササガヤとの格闘

クロナガアリ

わが家ではクロナガアリの主食はササガヤである。庭の一角はびっしりササガヤに覆われ他のイネ科は少ない。チヂミザサがほんの少しばかりある程度だ。そういう次第でイネ科の種を集めて食料にする習性のわが家のクロナガアリはもっぱらササガヤを運んでくることになる。

ササガヤは意外とくせ者で長いヒゲがよく引っかかる。写真のアリも巣まであと数センチというところで罠にかかってしまった。それはよく見る光景で、すぐに掛かりがとれることもあれば格闘しても外れずあきらめることもある。がんばるのはおおむね3分程度であろうか。


クロナガアリ

さてこいつはどうするのかと見ていると、引っ張るのをやめてヒゲの切断にかかっているようだ。種に近いところのヒゲをがしがしやっている。クロナガアリは草に登って種を採ってくることもある。ササガヤのヒゲぐらいは簡単に切れそうに見えた。しかし切れなかった。切れないとあきらめたアリは再び引っ張ることにした。しかし状況の改善はなく、再び切断にかかった。それでも切れず三度引っ張ることになった。

こりゃあきらめるかな?と邪推しながらファインダーを覗いていれば、種を押すような行動に出た。「引いてもダメなら押してみな」というのはクロナガアリには知られた格言のようである。ときおり目にする光景だ。そうやってしばしの格闘を経てこのアリは首尾良く種を運び入れることができたのである。


クロナガアリ

ところでどうして切断ができなかったのかとクロナガアリの大あごをみればニッパーのような形状になっている。がっしり掴むのには適しているが交差させてちょきんと切ることはできないみたいだ。切断の名手ハキリアリは一噛みで厚い葉を切ってしまう。仕事の邪魔をすると怒って私の指をちょきんと切った。幸い相手は小さいので指は落ちることなく、ちょいとした流血ぐらいで済んだものの、群れてかかられると我慢できないぐらいは痛かった。


2019.11.3(日)くもり ダンゴムシを運ぶ

クロナガアリ

そういえばクロナガアリに水稲の穂をやったとき、大あごを使って脱穀して運んでいった。それに運び込んだ種は大あごを使って皮をはがすはずだ。ちゃんと考えてみればクロナガアリの大あごはニッパーというだけでなく切断に使える鋭さがあるはずだ。では水稲に比べ10分の1ぐらいは切りやすいはずのササガヤのヒゲがどうして切れないのだろう? 採取時と運搬時の心構えの違いで大あごを使いこなせないのか? なかなか難しい問題を抱え込んでしまったようだ。

ひとまず「切れる」ことを確かめるために、穂のままのセイバンモロコシを転がしてみた。クロナガアリはセイバンモロコシはわりと速やかに見つける。置いて10分もしないうちに興味をもった働きアリが種に噛みつきはじめた。その様子をしばらく見ていたけれど切断するところは見られなかった。それよりも今日午前は境川で自転車の練習をしたかった。

妙にチョウが多い境川から帰って、クロナガアリを見ると、セイバンモロコシの種はけっこうな個数がはがされていた。やはり切断して脱穀することができるみたいだ。

それはともかく写真のようによってたかって何かを運んでいた。肉眼でも興奮気味な彼らの気分が認められる。クロナガアリが共同で獲物を運ぶのは私の記憶にない。これはたいへんとNikonを持ち出して記録した。写真をみれば、獲物はダンゴムシのようだ。どうやら体の一部が切断されているダンゴムシだ。ダンゴムシはクロナガアリがときおり運んでいるのを見ている。巣から搬出されたゴミの中にもダンゴムシの殻が目につく。わりと好きな食べ物なんだろう。


2019.11.4(日)晴れ ガガンボ

ガガンボ

いつも休むセブンイレブン裏の水路のコンクリ壁にガガンボがいた。正式な種名はわからない。ガガンボとしてはやや大きめといったところだろう。このガガンボというやつは存在感こそ薄いものの私には親しい虫だ。

子どもの頃、ちゃんと虫の勉強をしようと思い立ったことがある。まず町の本屋にいって本格的な図鑑を入手することにした。学研のポケット図鑑ではいくぶん心もとないことは既知であり、保育社の標準原色図鑑全集昆虫というハードカバーの立派な図鑑を取り寄せてもらったのだ。誕生日か何かの記念だったと思う。本屋からは「保育社のは詳しすぎてかえって君には使いにくいかもしれない」という意味のことを愛媛県八幡浜市の方言で言われた。

その図鑑を最初から最後まで何度か通読したのはいうまでもない。めくるめくきらびやかな虫が並んでいる。これを全部見つけることができるだろうか、全部覚えることができるだろうか、と胸が高鳴った。そして実地に虫を見つけ、標本も作って名前を調べようと思った。裏の川のほとりのみかん畑と空き地が昆虫採集地だった。そこで初日に捕まえた最大の昆虫がガガンボだった。

同定は最初から困難を極めた。初心者が立ち向かうにはガガンボ、アブ、ハエは難易度が高すぎる。それでも昆虫図鑑のおかげで私がゲットしたのはベッコウガガンボあたりかとの見当はついた。同時に分厚い本にも出ていない虫がいっぱいいることがうれしかった。

ガガンボは別方向からも親しい虫だ。物心ついたころから水棲生物が好きで、昆虫や魚を手当たり次第水槽で飼っていた。あるとき千丈川の砂を底砂にして、アシカキあたりを植えておいたところ、貝類やプラナリアなどいろいろなやつが勝手に湧いた。その中にウジ虫を巨大にしたような虫がいた。黒っぽい色をしておりヒルほどシャープではなかった。砂の中にうごめく蛾のイモムシという感じだ。

そいつは一度顔を見せただけで。なぜか砂の中を探っても二度と見つからなかった。昆虫なのか、ヒルの親戚なのか、ミミズみたいなものなのか、そいつが何者なのかの見当すらつかなかった。回りにも知っている者はいない。それがガガンボの幼虫らしいことを知ったのは30年ほどもたってからである。

私の庭にはスイレン鉢があり泥を入れ水をはってある。そこにもガガンボは住み着いている。おかげであのとき見た水中イモムシにも再会している。地味だけど親しい虫だ。大きなガガンボを見つけると少し胸が高まって写真を撮ったりする。ただしかつて夢見た昆虫博士の道からは大きく外れ同定力は上がっていない。写真のものはキリウジガガンボかな?まいいか、という体たらくだ。そして保育社の図鑑は半世紀たった今なお現役で活躍中だ。


2019.11.7(木)晴れ キチョウの擬態

ゴミ

この秋は境川に蝶が多い。モンシロチョウ、モンキチョウ、キチョウがよく目立つ。日曜に自転車で走っていて路面に転がっているキチョウを見つけた。死んだ蝶を拾っても仕方がないからとスルーして…すぐに考え直した。

キチョウはアスファルトではほとんど死体を見ていない。かなり敏捷に飛ぶ蝶なので自転車に轢かれたり歩行者に踏まれたりすることが少ないのだろう。

10mほど行って引き返し、キチョウを調べると、あら不思議人工物だった。どうもマスキングテープあたりの切れ端らしい。黒っぽい部分が裏から透かして見たときのキチョウの黒斑を見事に表現している。こういう見間違いはそう珍しいものではない。


落ち葉

それから10分ほど走って、今度は本物のキチョウを見つけた…と思った。ついでだから本物を撮っておこうと自転車を降りカメラを持って近づくと、これがまた偽物だった。何かの枯葉である。枯れて色あせた茶色い部分がうまいこと裏から透かして見たときのキチョウの黒斑を表現している。

立て続けに騙されるとこちらも意地だ。落ち葉がキチョウに見える距離角度で的確な擬態写真を撮りたくなる。

ところで昆虫の擬態というのは現状の環境を反映するものではないと思う。すさまじく上手な蛾などの擬態は、周囲の捕食者である昆虫、蜘蛛、恐竜、トカゲ、鳥などの捕食圧が今とは比べものにならないくらい高かったときに発達したものだと思う。

どれほど生命力があっても、視覚的な捕食者の目を逃れなければ滅んでしまうくらいの圧力があったのではなかろうか。ひとたび発達したデザインは変更する必要も圧力もなく今に引き継がれる。

騙されて言うのもあれだが、キチョウの擬態は私の目で見る限り低レベルだ。視覚的な捕食者の脅威が比較的小さい時小さい所に生まれた種なのかもしれないと思った。


2019.11.10(日)晴れ スーパーマクロの工夫

クロナガアリ

境川で拾ってきたセイバンモロコシは好評である。写真のようにせっせと種を運んでいる。セイバンモロコシの種は稲の半分もないくらいでヒトから見れば小さい。それでもササガヤよりはずっと大きい。クロナガアリはセイバンモロコシ運びにけっこう苦労する。アリなのにしばしばつまずいて転ぶのだ。むろんそんなことを気にするそぶりは一切見せない働きアリ。

今日のカットは照明をいろいろ工夫した成果の一つ。セットはNikonのD100に最廉価版プラスチックズームレンズを改造したもの。ストロボは一世代前の接写専用のSB-29だ。軽量で取り回しが良いのが利点。

この組み合わせはD300sという高級カメラをゲットしてからあまり使っていなかった。D100はファインダーがちょっとしょぼくてNGカットが増えるのが難点だ。画質はうんざりするほど悪くはない。色合いとホワイトバランスを調整して露出を間違えなければそれなりの写真は上がってくる。これはWB晴天+3、色合いー3の肌色赤寄りにしている。最終的にフォトショップでレベル補正のスライダーを動かしてはいるけど、ほぼ撮って出しのJPEGでも十分になる。

しかし、最廉価版のレンズだと解像感がイマイチのような気がする。ズーム最大ではフレアもひどい。そこでAF-N 28-85/3.5-4.5を1本ゲットするつもりだ。30年以上前に発売されていたフィルム時代のちょっといいズームレンズで、スーパーマクロに改造するのに最適なのだ。

じつは1本を職場のお嬢さんにあげた。彼女はNikonのフルサイズミラーレスなんていう超高級品を持っているカメラ好きだ。どういうわけかマクロもやってみたいというので気前よく差し上げたのだ。最新型のニコンZ6でどう写るのか試して欲しいという下心もあった。結果、モニターで見る限りD300sが赤面して逃げ出すほどの画質ではなかったから十分元は取った。新型カメラは必要ないことがわかっで大儲けだ。AF-N 28-85/3.5-4.5はヤクオフなんかだと1000円で手に入る。


2019.11.11(日)晴れときどき雨 Greg lemond's complete book of bicycling

発売が1990年1月というからもう30年ほども昔のことになる。「Greg lemond's complete book of bicycling」は私が最も精読した自転車関連の書物である。

グレッグ・レモンは数年にわたってツールドフランスと世界選手権を彼中心に回したスーパースターだ。猟銃事故からの復活劇もすばらしかった。そのレモンが本を出したという情報をゲットしていて、アメリカに行ったときに本屋に寄って買ってきた。まだロードレースがマイナーだった日本では売っていないペーパーバックだった。

内容は、グレッグ・レモンが才能ある若者が競技選手として活躍するための秘伝を明かすというものだ。テレビ、雑誌からのレース情報ではわからない裏話がとても面白く幾度も読んだ。前評判ではレモンとイノーの確執の真相も暴かれる…ということだったが、その点は事実のみが淡々と語られているという印象を受けた。

サイクリングのテクニックに関しては残念ながら、本当に残念なことだけど自転車の才能を欠いて生まれて来た私には無縁のものばかりだった。たとえば、とにかく重いギアをぐいぐい回すのが秘訣だ…などというのはできない相談である。無理を承知で何度かトライして、そのつど身の程を知るというのはいい経験であったが。

それ以外にも「夜は乗るな」「ヘルメットなんてダンプカーには無力」なんてのは今でも神の教えのごとく守っていたりする。ブルベは夜になるからやらず、日々なるべく車の走らないところで練習している。

今日、Amazonでペーパーブック特集なるものを見つけ、もしやと探してみればすぐに見つかった。それも割と安価にハードカバーの新品まで入手できるようで、たいへんすばらしい。今更ながらインターネット商業部門の勢いにはたまげる。


2019.11.13(水)晴れ 刺さった茎

クロナガアリの素

毎朝恒例のクロナガアリ観察におもむけば、写真のような光景が目に入ってきた。おやっと思ったもののすぐに経緯は了解できた。クロナガアリがセイバンモロコシの花穂を巣に引きずり込もうとして失敗したのだ。

採取してきたセイバンモロコシの種は一部茎をつけたまま庭にまいている。クロナガアリは脱穀してから運ぶのが普通だけど、たまたま力持ちだったのか軽かったのか、茎ごと運んでいったらしい。首尾よく巣穴まで運んで引き込もうとしたものの、壁につかえてにっちもさっちも行かなかったものと見える。

入り口にこんな物があると邪魔だろう。撮影のために遠目で観察していても茎が左右前後に揺れているのがわかる。働きアリが押したり引いたりしてなんとかしようとしている。巣の中に運び込もうとちょっと頑張って諦めるといった体だ。

目を上に向ければ一番成長の良かったジョロウグモ1が姿を消している。事故の痕跡はなく産卵だろうと思う。もう1頭、脚がもげてしまっている成長の悪いメスは巣にいる。こちらも小さいながら腹はぱんぱんになっている。産卵できる可能性もあるだろう。

1000円で買ったAF-N 28-85/3.5-4.5が届いた。さて画質の向上はあるだろうかと、ちょっと多めに廉価版レンズで比較用写真を撮っておいた。


2019.11.16(土)晴れ 雪迎え

谷

女房と二人してサイクルイベントに参加するため、金曜の夜は南アルプス山麓の民宿に泊まった。土曜の朝は写真にあるように見事な快晴、しかも無風だった。宿の窓は南東の方角に向いており、午前7時頃には朝日が山稜から差し込んできた。こいつはすばらしいサイクリング日和になるだろう。そう言い合って宿の窓からなにげなく谷を見ていると、黒々とした杉の林を背になにやら光るものが飛んでいる。それは点であり線であった。逆光を受けそれらははっきり見えた。

光る点のその動きはなじみのものだ。ワタアブラムシである。アブラムシが越冬のために新しい住処に向かっているのだ。解せなかったのは線のほうだ。それは極めて細く軽くしなやかだった。1つや2つではない。次から次へと谷の中空を漂い西の方に向かっている。朝日に照らされて起きた谷風がゆるやかに山頂の方に流れているのだ。谷の底からは300mもあろうか。数百メートル離れていても糸はよく見える。長いものでは10mほどもある。

糸は緩やかに波打っているらしく、光る部分と光らない部分がある。光の線は曲がって揺れながら命あるもののように空中を漂っている。まるで蟲師のワンシーンのようだ。

そんな芸当ができる糸はクモにしか作れない。記憶をたどれば「雪迎え」という現象が山形にあるとNHKでやっていた。晩秋に子グモたちが一斉に新天地へ旅立っていく日がある。それを地元の人たちはよく知っていて雪迎えとよぶのだそうだ。放送は30年以上前になるだろうか。それを思い出しながら近くのヌルデをみれば、黄葉した枝から糸が放たれている。どうやら谷全体のクモが絶好の気流を得て次々に旅立っているようだ。女房と2人してしばらくその素敵な光景に見とれていた。


2019.11.23(土) ストロボ

水滴

もうちょっとインスタ映えするアリの写真にならないかといろいろ工夫をしている。もっとも工夫の必要があるのは光の当て方だ。私のスーパーマクロは旧式簡易な撮影セットなので、照明は100%ストロボだよりになる。超高感度のカメラを使えば自然光が生かせるのかもしれないけれど、ISO100〜400しか使えない日影のアリではストロボに頼るしかない。

クロナガアリは、頭と胸ががたがたのマッドブラックで腹がつややかな黒という難しい被写体だ。しかも黒っぽく湿った土の上を歩く。そうした環境を撮影用に変更してはならないというのは自分ルール。ときおり落ち葉の上にいるアリを撮れば、明るい背景ならわりと簡単にインスタ映えもするんじゃないかと感じたりするけれど。

ともあれ、明るめにしようと照明を強くすれば、頭から胸の細かい突起にてかりが出てわざとらしい。かといって照明を固く暗くすればアリの形が見えなくなる。それは本末転倒。

さような次第で気づいたのが写真にあるストロボの写り込み。これまでもストロボを多灯にしたり拡散板を工夫したり、中国製の新型ストロボを使ったりと、いろいろ試してみている。その度に一長一短があることに気づいた。多灯にすれば嫌な感じの影は消えるがアリの腹に2つ3つのテカリが写ってしまう。拡散板で全体的に明るくすればアリに写るテカリがぺたんとなって丸みが不自然になる。

今日の写真は落ち葉についた雨滴の試し撮り。見所はストロボの写り込み。ストロボは、1灯を被写体の直上数センチから当て、もう1灯を逆光気味に離れたところから当てている。水滴にストロボのプラスチックが見事に写り込んでいる。グラビアモデルの撮影では目の印象を作るためのキャッチライトを不自然なほど被写体に近づける。その効果が逆効果になった失敗例だ。スーパーマクロではストロボが極めて近くなる。発光体のサイズだけでなく、テクスチャーもばかにならないと気づいた1枚だ。


2019.11.23(土) さざんか梅雨

サザンカ

群青で境川。気象予報士のお嬢さんがよってたかって今日の雨は冷たいと言う。この辺の気温は1月並みだと付け加える。そう脅されると寒さに弱い私は自転車に乗るのを躊躇せざるをえない。

ただし雨なら境川はがらがらで久々に気持ちよく走れるはずだ。そちらの期待のほうが大きかった。走り出してみれば雨も北風もどうってことはない。1月だって平均気温ならたいして低くない。それに境川は神奈川の湘南ともよばれる大和ー藤沢ラインなのだ。サイクリングは快調そのもの。

雨なら雨でしか出歩かない虫がいる。カタツムリとかコウラナメクジとか。それに今日はエビガラスズメがいた。いま道路にであるくイモムシを採取して蛹化羽化を見たいと画策している。チャンスではあるけど練習の途中で採集具を持っていない。エビガラスズメを運ぶのは困難とあきらめた。

ひとしきりビンディングの引き足を練習して帰り道で見つけたのが写真の光景。通り過ぎてから気象予報士のお嬢さんが「さざんか梅雨」なる用語を解説していたのを思い出した。おそらくいま最もかわいらしいと評判の奈良岡希実子さんだったと思う。ひとまず記録しておかねばと引き返して撮った。

帰宅してクロナガアリを見れば降りしきる雨の中を巣外活動していた。気温が低くないから出ているのだろう。スーパーマクロSB29で撮ったものの、ただアリがいるという写真にしかならない。ついでにササガヤの水滴を撮ったら光がいい感じに回っていた。さらについでにTG-5で撮ったジョロウグモは完全な前ピンだった。巣に残されている獲物の亡骸に合焦したのはすばらしいが意図とはちがう。ただこれはこれでジョロウグモは腹側にゴミを残すことがあるという記録になった。これまでは全部背側だと思い込んでいたもんだから瓢箪から駒。目からうろこが一枚落ちた。


2019.11.24(日)雨のち晴のちくもり ササガヤとの格闘

サザンカ

朝にはこまかい雨が降っていたが10時頃にはすっかりあがって日が射してきた。冬の雨装備で境川に乗り出したもんだから途中で2枚脱ぐことになった。モンシロチョウやモンキチョウが盛んに飛んで、冬の気配は微塵もなかった。

帰宅してクロナガアリの様子を見れば、盛んに活動している。気温は20℃ほどもあって動きがたいへん速い。ササガヤの種を運んだり巣内のゴミを撤去したり。

撮影していると一頭が運んできたササガヤが草の茎にかかってしまった。まあよくあることだが、どういうわけかアリは草の回りをぐるっと回ってしまった。あれあれと見ているうちにもう一周。逆回りならよかったのに2回巻き付いてにっちもさっちもいかない気配がただよってきた。

こんなときクロナガアリのやることは引くか押すか。しっかり引くと草が動く。なかなかのパワーだがそれではヒゲは外れない。持ち直したり、ヒゲをくわえてみたり、いろいろやるけれどうまくいかない。すぐにあきらめるかとも思ったが長く執着している。状況を打開する手だては草を逆に回ることだ。しかしアリにそんな知恵はない。


2019.11.25(月)くもりときどき雨 雨とアリ

クロナガアリ

クロナガアリは小雨のときなら活動するから、雨の中でアリを撮ることはたやすい。しかし、文句なしに雨のアリというカットをものにするのはたいへん難しい。

今朝のような霧雨であればアリの体に水滴がつく。地面は濡れている。だがそれで雨のアリという表現になるとは思えない。今日の写真はたまたま芽吹いたばかりのユキノシタの近くを歩いていたから、なんとか素人も説得できるものにはなった。

水滴にしても1つや2つ小さいものがアリの体についているだけではだめだろう。今日の写真は頭のいいところに水滴がある。この程度では表現として弱い。素人はそんなところに目がいかないのだ。

いわゆるヤラセのアイデアはある。たぶんクロナガアリなら霧吹きを使っても活動を妨げることはない。それはプロのやることで私のやることではない。

どうすれば雨のアリというカットになるのか? 考えてなんとかなる問題でもない。僥倖をねらって雨の朝のトライを続けることだろう。思いも寄らぬ発見があるかもしれない。ないかもしれない。確かなのは雨の日が待ち遠しく好きになることだ。


2019.12.8(日)晴れ 乏しい季節

クロナガアリ

今朝の冷え込みはそれほどでもなく、庭のクロナガアリは巣外で活動していた。しばらく見ていても種を運んでくるものがいない。庭のササガヤはすっかり種を落として細い茎と枯葉ばかりになっている。落下している種は少なくないとおもえるけれどアリの収穫物ではなくなっているようだ。

私は境川のセイバンモロコシを運んできて、観察のついでに少しずつ補充している。その種はまだけっこう残っているようで、不評なのかな?と思っていた。いくなんでもササガヤがなくなって手をつけないのはおかしいと確かめてみれば、黒く熟した種と見えているのはしいなだった。指にとって力を加えれば容易につぶせる。固い種の感触はなく殻だけだ。働きアリはちゃんと実のつまった種を選別して運んだのだ。そして殻だけがのこっていたというわけだ。

それならと、確保している種を一握りまいておくと、すぐに運びはじめた。私が見ただけではまったく見分けがつかないのだが、さすがにプロの感覚は確かだとあらためて感心した。そしてしいながかなり混じっていることにショックを受けた。境川で収穫適期にうまく集めたと思い込んでいた私は愚かだったのだ。


2019.12.10(火)くもり一時雨のち晴れ アリとミミズ

クロナガアリ

今朝、クロナガアリを見に行くとミミズにたかっていた。ちょうど巣口のすぐ近くにミミズの新鮮死体があって、その回りに働きアリたちが取り巻くように集まっている。たぶん餌だと思っているのだろう。ミミズの体に噛み付いているやつもいる。

クロナガアリは種を主食としているけれど動物も食べる。ダンゴムシの死体を運ぶ様子はよく見ている。極小のミミズを運んでいるのも目撃した。うまい具合に巣の近くにミミズが落ちていたからこれ幸いとありついたのだろう。

こちらもこれ幸いな事件だからと撮影することにした。2、3カット撮って様子が違うことに気づいた。アリが逃げるのだ。普段のクロナガアリはこちらのディスターブを気にしない。違和感は感じているのだろうが、いくら近づいても、頭上5cmでストロボが発光しても、逃げも隠れもしない。それなのにミミズにたかるアリは速やかに撤収していなくなってしまった。なにやら尋常ではない心持ちにいるみたいだ。

そもそもなんでミミズがアリの巣の近くで息絶えたかというのも謎だ。そのミミズに気づいたのは昨日の朝のことである。地面から頭だけ出してうごめいていた。土に挟まってにっちもさっちもいかないという体たらくだ。どうしたら庭の土でそんなことになるのか見当がつかなかった。

今朝には土に埋まっている胴体の脇がアリの通路になっている。もしかしたらミミズのやつはクロナガアリの巣に入り込んでしまって、アリにつつかれるのが嫌で地上に逃れようとして力尽きたのか? さすがに温和なクロナガアリも巣内への闖入者は勘弁ならず攻撃を仕掛け殺してしまったのか? いろいろ謎は多い。

しばらく観察していても、アリはちらほら出歩くだけでミミズを食べたり運んだりする気配がない。ひとまず出勤支度をしてNikonD700をもって出直してくれば、最初に見たときのようにミミズを囲んでアリたちがわさわさしていたのである。今日の写真はその1枚。さまざまな謎はさておき、クロナガアリというやつは等倍マクロで撮るとぜんぜん面白くないな、と再確認。


2019.12.22(日)くもりのち雨 雨とアリ

クロナガアリ

朝から降り出しそうな天気で女房と境川。昼頃にはぽつぽつ雨粒が落ちてきて濡れ鼠はかなわんからと早めに練習を切り上げた。

雨はしばらくぐずぐすしていて雨滴が大きくなったのは3時頃。雨の中でもアリが活動しているというカットを物にするチャンスの到来だ。いそいそと庭に出てクロナガアリの撮影。この冬は暖かくクロナガアリは巣外活動を続けている。今朝も巣口の周囲で数匹が種を運んだりゴミを捨てたりしていた。

雨はそれなりに降って雨合羽にはぽつぽつと雨滴の音がする。カメラは水滴まみれ。雨粒が地面に落ちるとゴミが動く。アリが捨てた種の殻と巣作り残土がうずたかく積もっているのだ。

狙いはアリの体についている雨滴だが、肉眼ではそれが見えない。ファインダーでもかろうじて認知できる程度だ。旧式カメラのNikonD100はファインダーがよくないのだ。とにかくアリがいれば数打つしかない。フィルム時代と違っていくらシャッターを押しても経済的損失がないのはデジタル最大の革新といえよう。とにかく数打つことだ。ワンカット撮っても1秒後には雨滴がアリを打って体に雨粒がついているかもしれない。

なんだかんだと400カットばかり撮って、これだ!というのはなかった。2019年は雨の冬至にササガヤを運んだという記録にはなった。


2019.12.30(月) やっぱり雨とアリ

クロナガアリ

しつこくクロナガアリを撮っている。とりわけ今日のような小雨の日にはいつもより多めに撮ってしまう。写真は雨に打たれ手ぶらで帰還した働きアリ。

この冬はとにかく暖かい。冬というより秋のようだ。先日やっと冬の雲を見たほかは冬らしいものに出会っていない。クロナガアリも毎日その姿を見ることができる。巣からは草の種の殻や土くれを運び出す。ときおりササガヤなどの種を取ってくるところを見れば、まだ食べるに足る落ち穂があるようだ。

多いのは所在なくうろつく働きアリだ。巣から顔を出しただけで引っ込んだり、出てきても半径20cmほどの円を描いて帰宅したり。

彼らに雨粒の爆撃はこたるようだ。今朝のように雨の降り始めには巣口から離れたところにいる働きアリが見つかる。落ち葉の陰に隠れて雨をやり過ごしているのか。種を探しているうちに雨に打たれて帰ることもできず途方にくれているのだろうか。そんな姿にぐっとくる。


2019.12.31(火)晴れ 落ち穂拾い

クロナガアリ

ものすごく穏やかな大晦日になった。午後からは風が少しでてきたものの、日差しが強く暖かい。こんな冬でいいものかと少し心配になる。

クロナガアリの活動は盛んだ。まるで10月のような賑わいがある。しばらくはササガヤを運ぶことはまれだったもので、もう落ち穂は少ないのだろうと思っていた。どうもそうではないようで、今日は次々にササガヤを巣に運び入れていた。働きアリの巣外活動は気温次第のようだ。

大晦日らしいこともしようと伸び放題になっているモッコウバラの枝を切った。ぜんぜん掃除もしてやれない24インチと黒パナを洗って油をさしておいた。ほかのロードはスルー。定期的に洗っているからまあいいかということで。

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