補修作業
修復中
その17 再発見

しかしながら、私自身の気持ちの中には少しだけひっかかるものがあった。そういう偶然だけでかつての春に見たような草ぼうぼうの光景ができあがるものだろうか? 釈然としないまま今年の冬を迎えていた。そして、謎の草を失ってから1年半、再び滝の裏を見る機会に恵まれた。1998年の2月、また堰堤がむき出しになったのだ。補修工事のため、メインの水門が解放され貯水量が減らされた。謎の草が生えている堰堤をオーバーフローする水は止められて、堰を上下させるバルブの部品などが交換されている。この補修工事は2週間ほど続けられた。もちろん私は望遠レンズをもって観察に出かけた。何かヒントがつかめるかもしれない。そうした期待をもって多摩川の堰堤に出かけた。

滝のベールが取り払われた堰堤の壁は思いもよらず緑だった。滝を通して見る限り、そこに草は生えていないようだったのに、かなりの草が生え、成長しているのだ。どうやら謎の草はかなり大きくなってはじめて滝を通しても確認できるようになるのだった。

98.5.2

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