定着想像図
図2
その15 こうしてひっかかった

しかしいつまでも悲しんでばかりはいられない。彼らを犬死にさせてはいけない。謎の草がどうやって堤の壁に定着できたのか、その謎を解くことが彼らの供養にもなるのだ。というわけで、もの思う私は堰堤が下ろされたことによって一つのヒントを得た。上はその着想を図にしたものである。川が増水したときに、泥水に混じって草が流れてくる。多摩川の河原にはたくさんカヤツリグサなどが生えているから、大水のときには根こそぎ流されることだろう。そうして流れてきた草が堰堤の渦に巻き込まれて、鉄柱とコンクリの間にひっかかる。大水の増水は2日もすると引くから、草が枯れ死する前に堤は引き上げられ、生き残った草は成長をとげる。

このような仮説をたてて事は足りた。あとは、大水が出た後に注意深く観察して草が引っかかっていることを確認できればヨシと思っていた。

98.3.29

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