最初はただ引っかかっているものだとばかり思っていた。しかし、夏がすぎ秋が来て冬になっても一向にその草は枯れる気配がなかった。多摩川の河畔が冬枯れになっていくなかで、滝の裏の草ばかりが青々としているのは奇妙だった。
そして春を迎えると、その草は成長を始めたのだ。日毎に成長をとげ、緑の部分はぐんぐん大きくなっていく。これで、謎の草は単に引っかかっているのではなく堰堤の壁に根を下ろして育っているのだという確信を持った。そこで疑問になったのは、
というような点である。
98.3.1