魚露目8号は小さな虫をいきいき表現するには必須のアイテムだ。もとはドアスコープらしく小型で安価なのがいい。うまく使えば栗林さんが開発した「虫の目レンズ」っぽい写真が撮れる。栗林さんのビデオを初めて見せてもらったとき、ついに昆虫に感情移入できるテレビの時代になったと感激した。そのまねごとが魚露目8号でできるのだ。
今朝は太陽の位置がわかるぐらいの曇り空で風も弱い。まずまずの撮影日和だ。愛用のTG-5に魚露目をつけていろいろ撮影してみた。
ツツジの葉に体長1cmほどの蜂がいた。ズームをテレ端にして画面をスクエアにするとこんな写真になる。最大サイズまでは寄っていない。
比較のためにタムキューで撮った。ややトリミングしている。絞りはf13だ。一目瞭然、背景がぼけて魚露目とは感じが違う。蜂のスナップショットならこっちの方がいいかもしれない。
魚露目の良さはレンズが被写体に当たるまで寄れるところにある。すると1〜2cmの虫が程よくおさまり、背景もわかる。そういうカットが欲しいときのアイテムだ。これはTG-5のテレ端を使っている。絞りはf4.9だ。
TG-5のテレ端を使うとピントが合っているところも甘い感じになる。ちょっと引いて円周魚眼のけられを入れると解像感はぐっと上がる。プロには魚露目は丸い画のほうがよいと言う人もいるぐらいだ。私が使うにはこれをトリミングして正方形にしたい。場合によってはニコンのNXで歪み補正することもある。絞りはf4.0だ。
魚露目ならではの写真だ。庭のヒメジョオンに小さなハラビロカマキリがいる。TG-5のオートフォーカスではカマキリにはピントがこない。撮影者が撮りたいのは広く明るい背景のほうだとカメラが判断するようだ。TGシリーズは5からマニュアルフォーカスが使えるようになった。ただこのセットの弱点はTG-5がヒメジョオンにぶつかってカマキリを警戒させることだ。あと2cm寄ればカマキリの写真になる。虫の目カメラの硬性内視鏡が欲しい。
こちらはオープンな環境なので、カマキリの警戒感が小さい写真になった。レンズの先端はカマキリの1cm前だ。こういうシーンならオートフォーカスでも行けるけれど、マニュアルのほうが後で悔やむことがないだろう。
カマキリを撮っているとヒトスジシマカのカップルが飛んで来た。駄目元でカメラを振ってパシパシ撮って一番まともだったのがこの写真。言うまでもなくノーファインダーでピントはカメラとの距離を目見当で計った。成功!ではないにしてもいい感じだ。そもそも飛んでる虫なんて狙って工夫してがんばらないと無理だ。たまたまマニュアルフォーカスにしていたから撮る気になった。