車窓から
えんてい
その21 雨続きで見えず

滝の奥に謎の草があることはわかっている。しかしその成長具合が今一つつかめない。6月は雨続きでもともと濁っている多摩川の水が水量が多くて泥まじりなものだから、滝の奥が透けないのだ。私は毎朝東横線の車内から堰堤を注視している。水の濁りがなく水量が少なくて、太陽光線がまっすぐに当たる日なら謎の草がきれいに見える。ちょうど、滝は薄いガラスのように透き通り、謎の草の姿は陰影までじゅうぶん確認できるのだ。あれだけ明るければ成長にまにあうぐらいの光量はあるのだろう。6月は謎の草を見ることができたのは2回だけだった。いらいらはつのる。

98.7.2

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