ナカガワのシフトレバー

シフトレバー


シフトレバーです。ダウンチューブのWレバー直付け台座にネジ止めしています。このレバーが製造されていた1980年代にはシマノが開発したSISという位置決め機構つきレバーが普及しつつありましたが、ブレーキレバーで変速するSTIシステムの登場はもうちょっと先でした。
こいつはフリクションタイプのものですが、引きが軽くぴたっと止まって戻らない仕掛けがあるすぐれものです。ツールドフランスではスポンサーのカンパニョーロを使わねばならない有名選手がこっそり使ってました。ばれないようにゴムのカバーをつけてましたが、私も雑誌でその写真を見たぐらいなのでバレバレだったのでしょう。
このレバーの後にシマノが画期的な発明をしました。フロントレバーにバネを内蔵しフロントディレーラーのバネの戻りを相殺したのです。思いもよらない、してやられた発明でした。
フリクションレバーはディレーラーのバネに引きずられて戻ることがあります。それを止めるにはネジを締めて摩擦(フリクション)を大きくしなければなりません。ネジを締めたらレバーは渋くなります。当時は走りながらネジを回してフリクション調整をするのが当たり前でした。
私はリアのシフトレバーにも同じバネ仕掛けをつければレバーの完成だと思いました。しかしシマノも他のメーカーもその機構を取り入れることはありませんでした。30年経った今でも私はそのことが残念でしかたありません。
自転車にだって天才的なエンジニアがいます。しかし彼の発明品は未成熟なまま市販され、微細な改善がなされ、完成レベルに達する前に消滅するのが常です。自転車業界は伏魔殿なんでしょうか。
現在市販されている「ロードバイク」にはWレバー直付け台座がないのでこのタイプのレバーはつけられません。そのことがかなり不満です。
STIはレースには必須ですが、高価で繊細で調整にコツがいります。壊れたらブレーキレバーもいっしょに換えなければなりません。境川を走る素人にそんな大げさなものはいりません。
欲しいギア板に一瞬でぴたっと止めても、そもそもギア比やギアシフトの意味が分かってないとマイナスになるだけです。境川を走っていると速度を上げるために変速するんだと思っていそうな人が多く、ちょっとがっかりします。


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