アクアリウムの記録


13年おつきあいした水槽(水槽のデータ)

これは以前あった水槽です。大きさは幅120センチ、高さ45センチ、水の量は200リットルほど。中に入っているのは熱帯産の水草と魚です。緑色をしている草は「アヌビアス・ナナ」です。

欲をいうともっと大きな水槽を作って日本にいる普通の小魚を群れ泳がせたい。東京都の葛西臨海公園にある池の断面水槽のようにその辺にふつうにいるハヤなんかを置くのが夢なんです。


魚は小型の地味なのばかり

アカヒレはきれいな魚です

葉っぱのコケ掃除をヌマエビに

そこいらの川や池にいる魚はとても飼育がしんどいんです。振動に敏感だったり水中の酸素が少なくなるとすぐに死んだり、いわゆる熱帯魚に比べると100倍は辛い目にあうんです。
それに今では熱帯魚飼育のための装置はとことん手に入ります。一時代前なら水族館にもなかったような器具まで市販されています。しかも安いのだから、いい時代になりました。

この小川が私のアクアリウムの原点。現在は目を覆いたくなるほどばかげた姿をさらしている。いまから20年ほど前に突然カジカガエル、ツチガエルが姿を消した。産卵場所になっていた田んぼの消滅とか、なんらかの環境異変があったにちがいない。流域にはそうした変化自体に気づいている人すらいないだろう。カエルがいなくなって夏の夜が静かになってよかったかもしれないが.....

私が所有していた200リットルの水槽はほとんど金と手間がかかりませんでした。なるべくかけないようにしていました。換水なんぞは1年以上やりません。年間のえさ代は千円ぐらい。掃除なんか引っ越しのとき以外はした記憶がありません。

ANAの機内サービスでもらった白いプラスチック製のコーヒースプーンで一日2さじづつ餌をあたえるほか、やらねばならぬ作業といえば、枯れ葉が浮いてみっともないので葉っぱをすくい上げること、それに週に一度くらいは水が蒸発してしまうのでやかんで足し水をすることくらいです。

死んだ魚を取り出したこともありません。魚は年間2匹ぐらいしか死なないし、死んでもエビなどが食ってすぐに跡形もなくなっています。魚の死んだのをみたことすらありません。数が合わなくなると死んだことにしています。エビとかオトシンとか隠れるのが上手なやつだと一年以上顔を見せずに引っ越しのときにひょっこり出てきたりするので、おおって感じになりました。

日本で水草水槽がはやり始めたころには各種の有茎草やクリプトコリネなんかも取り揃えてエンペラーテトラなんかも泳がせていた。繁茂する水草のなかでエンペラーやランプアイたちは勝手に世代を重ねていた。クリプトコリネはとにかく丈夫で殺しても死ななかったけど、ときどき根茎を残して全部枯れるのには閉口した。有茎草はきれいだけど成長が早すぎるのでまいってしまった。

主な動物はアカヒレとグローライトテトラをあわせて20尾ほどにヤマトヌマエビが数匹。また目立たないんですが私のアクアリウムの主体は貝だと思っています。

貝が全滅してしまうと見る見る水槽がみっともなくなってきます。茶色いコケがびっしり水草を覆い始めるんです。それで貝の勢いだけには気をつけています。数カ月前に貝が弱る原因はえさ不足だということがわかりましたので、水槽にコケを生やす栄養剤(テトラフローラプライド)をひとびん買ってきていっぺんにほうり込みました。コケの量と貝の個体数のバランスがとれるときれいで元気なアクアリウムになりそうです。今は少しコケの方が勝っているようですが、多少コケがめだっても貝が元気なほうがアクアリウムの見栄えはいいと思ってます。私は貝がほとんで成長できず、白く小さな貝殻をさらしている姿を見るに耐えないんです。コケと貝は大切なアクアリウムの一員なんですから。


アヌビアスナナの花

私のアクアリウムは全体が緑の草で覆われています。水草の名前はアヌビアス・ナナというサトイモ科の草です。西アフリカ原産だということですが、いまではバイテクを使って大量生産されています。

この草はあきれるほど丈夫です。ナナはアクアリウムの中でほとんど枯れません。私のナナで枯れてしまった株は一つもありませんでした。10年以上にわたって緩やかに増える一方で手に余るほど増えると、ともだちに分けたりしていますが、他所でも枯れていないようです。ナナは成長は緩やかなので剪定の手間もかからずじつに維持管理が楽な水草です。とくに現在のように二酸化炭素不足の環境にすると成長と枯れ死のバランスが取れて増えることもなくなりました。

ナナ以外の茎がある普通の水草は元気のいいときは、「切り戻し」といって週に一度は植え換えなきゃなんないし、元気が悪く成長がとまるようだと一気に枯れるし、管理は大変なんです。二酸化炭素入れたり、高価な濾過器を設置したり、照明はあれだ、肥料はなんだ、夏はクーラーで冷やすのか?なんてもうくたびれちまいました。

セットしてから6年後の水槽(バージョン3) このころから一本も水草を買い足さなかった...

ものごころついてからずっとアクアリウムと一緒だったからなんとなく........また、手間がかからないからショップで手に入る熱帯産の生き物で...........というような感じで、私の水槽暮らしには、もはやなんの野心もないのですが、無性に育成の誘惑にかられる水草があります。それは上の写真左隅にあるアマゾンソードプラントという水草です。アヌビアス属もそうだけど、アマゾンソードも水草とは思えない精悍な面構えをしています。

昔の図鑑のうしろの方についている水槽飼育講座のイラストなんかには「水草を植えましょう」とあればたいていクロモかアマゾンソードの絵が添えられてあったものです。『ゲンゴロウの上手な飼い方』というタイトルで「ゲンゴロウは共食いをするので隠れ場所のため水草を植えましょう。」という説明でアマゾンソードの絵が添えられていたのを見た記憶があります。

私はそんな水草は知らなかったものですから『こんな格好のいい水草はいったいどこに生えていてどうすれば手には入るんだろう』とひどく気になったものです。

それであげくの果てにはアマゾンまで出かけて行って、野性のアマゾンソードを見つけて狂喜乱舞したわけです。といってもレティシアというアマゾン川の港町で雨期の増水後の水たまりの中をびっしりと埋めつくしていたものをたまたま発見しただけで、そう苦労せずに出会ったわけですが、やっぱり強烈な赤道直下の太陽のもとで青々とした葉が水中を覆い尽くしている光景はみごとでした。そしてアマゾンソードのジャングルの間にフェスティバムがあの不機嫌そうな顔で沈んでいるわけです。けっこういろいろな場所に水草を見に行きましたが最もインパクトのある光景でした。次は西アフリカにアヌビアス・ナナの野性種を探検に...

植物群落で私が「きれい」と感じるのは、この写真のミカン畑の下草のようにハコベ主体でオドリコソウやスイバが少し混じるような平凡かつ陰気な情景です。そうした印象がアクアリウムに作りにも反映されているのでしょう。華やかで豪華なタイプや日本庭園風のかっこいいアレンジメントへの意欲は沸きません。

アマゾンソードは注意深く育てれば水槽でも数年にわたって美しく丈夫に育つそうです。雑誌なんかをみると10年もかけて一株を美しく立派に育て上げている名人の紹介があったりします。私も店できれいなのを見つけると、ついついその気になって何回かトライはしたんですが............

アマゾンソードの葉には細かいコケがつきやすく、肥料がアンバランスになるとすぐに根の方から枯れてくるようです。植えて最初の2カ月は放っておいても順調に育つのですが、全部の葉が水中葉になるころ中心部から出てくる新しい葉が白化を始めています。そのころには見た目に元気そうでも根の腐敗がはじまっているんです。写真は育成3カ月ごろでもっとも大きかったころのものです。このあと急に成長が止まったので砂の中に固形肥料を入れたりしたのですが無駄でした。

先の写真から数カ月、ナナやウィローモスは順調に育ったけど、アマゾンソードプラントは見るかげもなく弱りやがて枯れ果てた。

私は勤めの関係で4年に一度ほどの引っ越しを余儀なくされます。そのたびに砂と水草を持って大移動しました。いろいろな草や魚は引っ越しの荷物としては非常にやっかいなんですが、ナナだけは元気に旅のお供をしてくれました。

アクアリウムはセットしたてはラン藻をはじめ、いろいろなコケに悩まされます。しかも、再セット後ナナが気を落ちつかせて葉をそろえるにはしばらく時間がかかります。なにしろ成長の遅いナナのことですから結局一年ぐらいは落ちつかない水槽になります。このページ冒頭の写真は2000年8月撮影のもの、4回目のセッティングから5年が経過しています。


いまは、残念ながら家屋の関係で水槽をもっていません。いつかはもっと大きな水槽を持ちたいと願っています。

2001.3.17

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