12月10日 ライン川のビオトープ

河 スイスのバーゼルに滞在した一週間、毎朝日の出のころにライン川のほとりを散歩するのが日課だった。ライン川にはバーゼル市が設けたビオトープがあり、かわった自然観が伺い知れた。
看板 ビオトープに気づいたのはこういう看板が立っているからだ。ライン川の河岸は比較的暖かくて植物や昆虫にいい環境だ。それで、あえていろいろな植物を植え、虫などが生息できるように環境を整えているのだ、と書かれている。
蜂の巣 こちらは、蜂のアパート。植物の空洞を利用して子育てをする蜂のために住み家を提供している。そばの看板には、飼育されているミツバチ以外にも蜂はたくさんいて受粉などの役に立っているのだが、彼らの住み家が不足しているので補っているのだ、と書かれてあった。
木と草 ライン川の河岸は全部が石積みで覆われている。樹木は石積みの間に根を張っている。それは石積みを壊すことになるので歓迎されない。しかし、ビオトープではあえて潅木や木を植え、土をためて落ち葉をほったらかしにしている。バーゼルは本来非常にこぎれいな町で、ラインの河岸ですらビオトープ以外の場所は職員による掃除が行き届いている。
オドリコソウ 土のあるところには、いろいろな植物が根づいていた。写真はオドリコソウ。日本にある種類とはじゃっかん違うようだ。関東のほうでは12月にはなかなか見られない花だ。12月のスイスは天気も悪い日が多く、けっして暖かくはないが、ライン川の河岸は看板にあったように気温が高いため花をつけているのかもしれない。ほかにも、セイタカアワダチソウ、タンポポなどおなじみの花が見られ、鳥の巣もあった。
四手網 ライン川はアルプスに源を発し大西洋に注ぐ大河。スイスのバーゼルあたりでも川幅は300メートル、深さは8メートルもあり、大きな船も行き交っている。マスなどの魚も多く生息し、海の魚が手に入らない昔は漁業も盛んだったようだ。今でも機械仕掛けの四手網がいくつか見られた。写真のものは天然の岩の下に集まる魚をねらうものだ。人工的に漁礁をもうけてあるのも見かけた。